>今まで名刺等交換させて頂いた方々や、御支援を頂いた方々に配信させて頂きます。
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>官邸お庭番日誌ver2 第25号
>2012年2月27日
> 3月が近づき、春がそこまで来たように思える温かい日もあったが、例年になく寒い冬がようやく終わろうとしている。と同時に、あの歴史的な3月11日から1年を迎えようとしている。いまだに瓦礫の処理の目途が十分にたたず、復興に向けた槌音も心なしか弱々しく感ぜられるのも、やはり福島原発事故が大きくわれわれの心の中に重石となって残っているからだろうか。
>□社会保障改革と税制改革の同時提案でないのが残念だ
> 国会は、衆議院の予算委員会の公聴会の日程が、3月2日と決まり3月5日の週末までには衆議院を通過するのでは、とみられているが、暫定予算を組む必要があるのかどうか、微妙なところに来ている。
>予算は通っても、予算関連法案の行方はもちろん、肝腎の社会保障・税一体改革関連法案の方は、与野党協議が実現できず、野党側は解散・総選挙を求めて厳しく追及し続けている。自民党の谷垣総裁は、総選挙で民主党が消費税を10%に引き上げることを公約にして闘えば、選挙後には十分に協議に応ずることができる、と発言されているのだが、解散に向けてのハードルはなかなか厳しい。一つには、
>一票の格差が違憲状態にあるという最高裁の判決への対応ができておらず、区割り法案の期限が25日で切れ、いまや違法状態にある。党内には、依然として消費税の引き上げに反対するグループがあり、法案の提出にすら抵抗する構えを見せている。そこへ持ってきて、社会保障の改革法案の提出が遅れ、消費税の引き上げを中心に、税制改革法案だけが3月末に提出されるという状況になりつつある。ただてさえ消費税引き上げがメインで社会保障の充実は刺身のツマでしかない、という批判がある中で、税と社会保障改革法案が同時提出できないことは国民への心象としても良くない。
>□パート労働者への保険適用ができなくて、どうする
> その原因の一つが、パートタイマーへの厚生年金や健康保険の拡大を進めることへの党内からの反発があり、取りまとめに手間取っているからだ。もちろん、パートへの年金や健康保険の拡大は、パートを大量に雇っている小売り、流通・サービス業などには反発があることは間違いないのだが、この程度の反対に手間取っているようであれば、パートやアルバイトも含めたすべての国民に対して、所得比例(15%の保険料率)の年金制度にするという民主党の年金改革案は、全くの絵空事になっていくわけで、どこまで自分たちの政策に対して真剣な論議が行われていたのか、疑わざるを得ない。かつて自公政権時代の2007年に、パートを含めた被用者
年金の一元化法案が出されたとき、民主党は完全一元化ができていないと言って反対してきた。今回の民主党案は、対象範囲が週労働時間30から20時間へと広がり、対象人数も100~370万人へと拡大しているが、考え方としては同じ性格の法案を提起しようとしているわけで、そのとりまとめすらできないとしたら、なぜ2007年に反対したのか、猛省を促さなければなるまい。
>もし自公案に反対しなければ、昨年9月からスタートできていたはずである。パートなど不安定雇用労働者にとって、まずパートへの厚生年金適用ができる意義は大きく、まことに残念でならない。
>□「防貧機能」と「救貧機能」の違いを理解すべきだ
> 年金と言えば、低年金者に対する手当てが決まったようである。厚労省が示した案によると、65歳以上で年金を含む年間の収入が基礎年金の満額(76万8千円)以下の人に一律で月額6,000円を加算することにしている。働いていた時の収入が低く、保険料の免除を受けていた人にはさらに上乗せし、単に未納だった人より優遇するようだ。この案は、昨年検討された「月額7万円まで、最大1万6千円を加算する」という案よりも工夫されているのだが、依然として不公平感が残る。加算される人の年収が、対象外の方を上回る「逆転現象」が起きるし、上乗せについても、保険料の免除が可能だった期間も努力して満額を収めた人はどう考えるだろ
うか。他方で、高所得者の年金について年収850万円以上の約24万人を対象に、最高で月額3万2千円をカットして、その財源で低年金者を救済するようだ。高額所得者に対する基礎年金の国庫負担部分を削減することには一定の合理性はあるのだが、一番の問題は、年金という「防貧機能」を目的としているものに対して「救貧機能」を持たせようとしていることの矛盾に気が付いていないことである。
>貧困層の救済に対して、もう一度基本的なところから改革していく必要があると思う。
>□AIJ投資顧問会社の事件、企業年金の問題も深刻である。
> 年金といっても、企業年金については今まであまり問題視してこなかったのだが、今回のAIJ投資顧問会社が起こした企業年金2000億円の損失事件については、唖然とせざるを得ない。どうやらこの投資顧問会社は、全額ケイマン諸島の私募投資信託を通じて運用していたようだが、その内容は全く不明なままであ
>る。企業年金については、その運用が委託されるわけだが、高利回りを求めるためハイリスクな商品に投資する事例が多く、その結果がこのような結末を迎えたものとみられる。考えてみれば、公的年金の基金の運用も企業年金と同様リーマンショックをうけて利益を上げるどころか赤字を出し続けており、積み立て方式による年金基金の運用が、いかに難しい問題を抱えているのかが明確に示されていると言えよう。
>むしろ、アメリカの公的年金の運用のように非市場性国債で運用した方が確実であり、結果として安定した利回りが確保できるわけで、いたずらにハイリターンを求めて、市場のリスク商品に手を出すことは考え物だと言えよう。
>□国際的な税を巡る協調が、今こそ必要なときはない
> それにしても、今回のAIJ投資顧問会社の損失事件の舞台になったのがイギリス領ケイマン諸島というタックスヘイブン地域であり、日本の金融庁の調査が及ばない。法人税がかからない地域に拠点を置くこのようなファンドや私募投資信託などを、どのように取り締まっていくべきなのか、国際社会でしっかりと考えていくべき時に来ているように思えてならない。実質的な「脱税」が合法的に進められることを許しては、国民の不信を増すことは必至であり、先進国はきちんとした対策をとる時期に来ている。また、アメリカのオバマ政権が打ち出した法人税率の引き下げが報道されている。そのことは、日本の法人税率が再び世界で一番高くなると宣伝
され、経済界を中心に法人税率のさらなる引き下げを求める圧力になりつつある。まさに、法人税率の引き下げ競争になってきているわけで、先進国間の協調が今こそ求められているときはない。
>先に述べたタックスヘイブンの問題といい、税の引き下げ競争といい、問題は国際的な協調・協力が必要になっているわけで、日本政府もG8やG20といった国際的な場で、議論をリードしていくことが求められているように思えてならない。
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>峰崎直樹プロフィール
>1944年10月14日生
>1992年参議院北海道選挙区初当選
>〜2010年 参議院議員3期18年任期満了
>2009年財務副大臣
>現在
>内閣官房参与
>◎峰崎直樹 官邸お庭番日誌
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