2012年10月30日火曜日

Fw: 軍事情報 「狙撃」(野田力)

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>原稿作成支援およびアドバイス・その他《書く》ことに附帯する一切の業務に
>ついて執筆活動を展開しております。 ライター・平藤清刀
>E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
>WEB http://homepage2.nifty.com/hirayan/
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>
>From:野田力
>件名:狙撃
>
>--------------------------
>軍事情報特別連載
> フランス外人部隊・日本人衛生兵のアフガニスタン戦争 Vol.28
>
>陸上自衛官を志すも挫折。自分が立派な兵士になれることを証明するため
>渡仏し、外人部隊への入隊を果たした衛生兵が、最前線で体験した
>アフガニスタン戦争の実像をお伝えします。
>
>2012年(平成24年)10月29日(月)
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>
>□はじめに
>
>先日、心肺停止に陥っている男性のいる場に偶然居合わせ、
>応急処置を施す機会がありました。
>
>やがて到着した救急隊に処置を引き継ぎ、救急隊の仕事を
>見学したのですが、「この仕事、やりたいなあ」と思いました。
>
>やはり、"現場""最前線"が私にとっては一番やりがいを感じら
>れるところだと再認識しました。私は救急隊の属する消防に応募
>できる年齢ではないので、諦めざるを得ませんが、これからも
>事故現場に居合わせたら行動を起こしたいと思います。
>
>
>▼狙撃
>
>アフガン兵が手首に被弾し、米陸軍のブラックホークに搬出された
>翌日、我々の車列はCOP46を出た。第1小隊4台、第4小隊4台、指揮小隊5台だ。
>
>第1、第4小隊は戦闘班で構成されているが、指揮小隊は中隊長班、
>副中隊長班、ADU(中隊の最先任下士官)班、車両整備班、そして私の
>所属する医療班で構成されている。
>
>第1、第4小隊のVABが列を成してCOP46を後にした。中隊長班や
>副中隊長班のVABはその列のどこかに混ざる。最後にADU班、医療班、
>車両整備班のVABがつづく。これら3つの班はいつも一組となって動く。
>
>タガブ谷東側にひろがる荒野に、第3中隊の車両群が散らばった。
>しかし、どんな配置になっているのかは私にはわからない。我々の
>位置は谷の西側にある村の端から1kmくらい離れている。一番接近して
>いるVABでも500〜600mくらいではないかと思う。
>
>第1小隊所属の狙撃班やミラン(対戦車ミサイル)班は小高くなった
>地形のところに陣取っているだろう。我々の荒野への展開に対する
>敵の反応を観測するのだ。
>
>エンジンを切り、ヘルメットをハンドルの上に置いた。退屈な時間
>が始まった。何時間たっても、敵の反応はない。戦場の時間の多く
>はこのように暇だ。日光の暑さがVABの車体を通して体に伝わる。
>
>脱水症状にならないように、運転席のわきから500mlのペットボトル
>に入ったミネラルウォーターを小まめに飲んだ。そして再び、遠く
>に見える村に目をやる。
>
>目では村を見ているが、心はもの思いにふけっていた。「1年後
>除隊したら何をしよう」とか、「日本の親友たちは今どうしている
>のだろう」とか、「アフガン派遣後の長期休暇はどこに行くか」
>など考えていた。
>
>すると、中隊長から無線が入った。
>「全コールサイン、レッドのほうで1人、ヘルメットを撃たれた。
>緊急搬送の必要はない。」
>
>「レッド」とは第2中隊のコールサインだ。つまり、第2中隊の誰か
>がヘルメットに被弾したのだ。被弾すること自体は不運だが、
>ヘルメットに救われるのは好運と言えるだろう。
>
>しかし、7.62mm弾をヘルメットに被弾すると、衝撃で首の骨を
>折ってしまうと聞いたことがある。無線で「搬出の必要はない」と
>言っていたので、折れてはいないのだろう。
>
>ヘルメットに撃ち込まれた弾丸は遠距離から放たれたものだった
>かもしれないし、アゴひもを外していたから、ヘルメットだけが
>飛んでいき助かったのかもしれない。さまざまな条件で負傷の
>程度も変わる。
>
>第2中隊がどこで何をしているのかについては、私は全然知る由も
>なかった。ヘルメットに被弾したのは、激しい戦闘のときなのか、
>狙撃を受けたからなのか、それすらわからない。まあ、私の立場では、
>知る必要性がないから情報が届かないのだ。どのみち後で、現場に
>いた奴らから聞く。
>
>我々第3中隊のほうでは何もなかった。朝から夕方まで荒野に
>停まったVABのなかで、まる一日太陽に蒸されたあと、暗くなると、
>車列を成してCOP46に戻った。
>
>COP46に常駐している衛生兵が我々のVABのところにやってきた。
>外人部隊ではないフランス正規軍の、第1機甲パラシュート連隊に
>所属するフォエという名の黒人兵だ。40歳過ぎで中年太りをしている。
>
>フォエは1990年に陸軍に入隊した古参兵で、初陣はなんと湾岸戦争
>だった。その後、アフリカ諸国や旧ユーゴスラビアの紛争など、
>いろいろな地域へ派遣され、アフガニスタンは2回目の派遣だという。
>
>フォエとは、アフガニスタンに派遣される4ヶ月前の演習で一緒に
>行動し、知り合った。私より10歳以上年上だが、階級は私と同じ
>上級伍長なので仲良く話すことができた。
>
>そんなフォエが、VABの後ろにいる我々のもとへやってきて、
>「村から敵がロケットを撃ってくるとしたら18時から22時のあいだだ」
>と言った。毎晩ではないが、毎週1回は必ず飛んでくるという。
>しかし、1発もCOP敷地内に落ちたことはない。
>
>フォエは我々とともに缶ジュースを飲み、少し雑談をした後、
>自分の寝泊りする天幕へ戻って行った。天幕の半分が診療所で、
>残り半分が生活スペースとなっている。折り畳みベッドに寝る生活だ。
>
>翌日もCOPから出ていったが、まる一日何も起きなかった。
>夕方前、まだ明るいうちに帰投を始めたのだが、COP46には戻ら
>なかった。土埃を立てながら荒野を走行し、COP46よりも5kmほど
>北に建設されたCOP51に向かった。
>
>COP51は、村の端から数百メートル離れたところに孤立した、
>100m弱の丘の麓にあった。COP46よりも村に近いが、村とは逆の側
>の麓にあるので、丘が頼もしい遮蔽物となっているうえ、見通しの
>よい見張り台の役目を果たしている。
>
>COP51もバスチョン・ウォールに囲まれており、中にはテントや
>コンテナが並び、アフガン国軍が駐屯している。丘の上までT55戦車
>が登っており、村の方向を向いている。
>
>我々の車列はCOP51に入らず、COP横に駐車したものの、しばらく
>すると、COP51から村の方向とは逆の山地の方向へと進み、荒野から
>山地に入った。大きなタガブ谷から山地のほうに細く短く伸びる
>小さな谷を進むと、山地の中に盆地のような地形が広がった。
>
>我々はVABを盆地に駐車した。盆地にはすでに第2中隊のVABが何台か
>いた。その中に、第2中隊医療班のVABもあった。我々がVABを駐車
>した位置から近い。ヘルメットを撃たれた兵士について聞くことが
>できるだろう。
>
>我々医療班4人は第2中隊の医療班のもとへ、あいさつに行った。
>彼らから10mくらい離れた地面にはTシャツ姿のリトアニア人一等兵
>が座っていて、ぼんやり遠くを眺めている。額の右上部分に大きな
>絆創膏を貼っているので、ヘルメットを撃たれたのはこいつだと
>確信した。
>
>第2中隊の看護官がそのヘルメットを見せてくれた。前面のやや
>右下寄りにポツンと弾痕があった。弾痕や弾痕の周りは緑の塗装が
>はがれ、白くなっている。あと数センチ下に着弾していたら死んで
>いただろう。
>
>ヘルメットの被弾した部分の内壁は少し隆起し、破れた表面から
>スペクトラ素材の白色が見える。その周りに少し血がついていた。
>3針縫う傷を負ったという。その程度で済んで良かったと言うべき
>だろうか。
>
>第2中隊の医療班へのあいさつが済むと、私はミッサニ伍長と
>その一等兵のもとへ歩み寄った。プルキエ少佐やオアロ上級軍曹は、
>第2中隊の軍医や看護官と話し続けている。
>
>私とミッサニは一等兵のそばにしゃがみ、あいさつした。
>
>「どんな具合だ?」
>私が尋ねると彼は答えた。
>「まだ痛いです。吐き気はないですが、めまいがします。」
>
>「撃たれたときの状況を話してくれないか?もし嫌だったら
>別にいいんだけど・・・。」
>
>撃たれた体験を話すのは本人にとって苦しいことかもしれないと
>思ったが、私は尋ねた。
>
>彼が言うには、荒野の小高くなった場所から周辺を見張っていた
>ところ、下のほうに多くのヤギとヤギ使いの男性が現れた。
>その男性を見張っていると、突然男性は踵を返し、もと来た方向へ
>走り出した。
>
>「どうしたんだ?」と彼は思ったが、再び視線を前方に戻した。
>そのとき、ガツンと頭に強い衝撃を感じ、地面に倒れこみ、周りの
>同僚たちが「大丈夫か ?!大丈夫か?!」と駆け寄ってきたという。
>
>ヘルメットのアゴひもは締めていたが、アゴひもを固定するマジック
>テープが一瞬ではがれ、ヘルメットは飛んでいった。アゴひもの固定
>がバックル式だったら首を痛めていたかもしれない。
>
>発砲は1発だけだったというので、狙撃らしかった。この一等兵から
>話を聞いたときは、どこから撃たれたのかわからなかったが、後で
>「600m離れた場所から」だと聞いた。結局敵は見つけられなかった。
>
>興味深いのはヤギ使いの行動だ。狙撃直前に踵を返し、走り去って
>いる。この男性が狙撃したのではないだろうが、走り去るタイミング
>からして、彼には敵の狙撃手の存在がわかったのだろう。目が
>よかったのか、我々にはわからない合図があったのか?
>
>とにかく、幸いなことに一等兵は、内側に割れ込んだヘルメット
>内壁で額を少し切っただけで済んだ。ヘルメット着用の大切さを
>痛感した私とミッサニは話してくれたことに感謝し、VABに戻った。
>
>2時間ほどその盆地に留まったあと、我々第3中隊は車列を成して、
>COP46へと帰った。そして、夜の医療班のブリーフィングで、
>「明日、徒歩で村のなかへ入ることが決まった」とプルキエ少佐が
>言った。
>
>
>(つづく)
>
>
>(野田 力)
>
>http://okigunnji.com/?p=1087
>
>
>
>☆今回のマガジンの評価をお願いします
>
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>
>締切:2012年11月02日18時00分
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>
>
>◎前回の結果
>
>とても面白かった (52票) 78%
>面白かった (14票) 21%
>どちらかといえばつまらなかった (1票) 1%
>つまらなかった (0票) 0%
>
>
>● 著者略歴
>
>野田力(のだ りき)
>1979年9月 近畿地方生まれ。
>阪神大震災における自衛隊の活躍を描いた書籍を読み、陸上自衛官を志すも挫折。
>自分が立派な兵士になれることを証明するため渡仏し、外人部隊への入隊を果たす。
>
>2005年3月 基本訓練ののち、希望していた第2外人パラシュート連隊に配属され、コル
>シカ島に駐屯。
>2005年4月 パラシュート課程修了。
>2005年5月 第3中隊(水路潜入専門)第3小隊配属。歩兵訓練修了。ミニミ軽機関銃射
>手を担当。
>2005年10月 対戦車ミサイルERYX(エリックス)課程修了。同ミサイル射手を担当。
>2005年12月 水路潜入課程レベル1修了。
>2006年2月〜6月 アフリカ・コートジボワールに派遣され、治安維持作戦に従事。
>2006年12月 衛生兵課程修了。小隊の衛生兵となる。
>2007年3月 水路潜入課程レベル2修了。
>2007年4月 装甲車VAB(ヴァブ)免許取得。
>2007年6月〜10月 アフリカ・ジブチに派遣され、砂漠訓練等を受ける。
>2008年2月 伍長昇進。
>2008年9月〜2009年1月 アフリカ・ガボンに派遣され、ジャングル訓練等を受ける。
>2009年7月14日(フランス革命記念日) パリのシャンゼリゼ大通りの軍事パレードに参
>加。
>2009年12月 上級伍長昇進。
>2010年1月〜7月 アフガニスタン派遣。国際治安支援部隊活動。
>2011年4月 除隊。
>2011年6月 帰国。2012年春から看護学校に入学。経験・特技を活かし、国際医療・災
>害医療の看護師を目指す。
>
>-----------------------------------------------------------------------
>■兵頭二十八さんの問題意識
>
><わが国の軍事図書情報の総合環境を、すこしでも改善するために、
>広く皆様のお知恵をあつめたいものと念じております。>
>(兵頭二十八さん)
>
>アイデアありますか?
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>▽必読メルマガ紹介
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>荒木肇さんのメルマガです。
>http://www.melma.com/backnumber_174026/
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>北野幸伯さんのメルマガです。
>http://www.mag2.com/m/0000012950.html
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