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>□■■□──────────────────────────□■■□
> わたなべ りやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 3084号
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> 2013(平成25)年10月1日(火)
>
>
>
> 再稼働後は原発新設・リプレーに転換:杉浦正章
>
> まだ自由貿易区の実験?:宮崎正弘
>
> 「GHQ焚書図書開封」読書メモ(2):平井修一
>
> ドナルド・キーンさんの歩いた道:伊勢雅臣
>
> 五輪東京決定で勢ひを呼べ:中條高徳
>
> 話 の 福 袋
> 反 響
> 身 辺 雑 記
>
>
>□■■□ ──────────────────────────□■■□
>第3084号
> 発行周期 不定期(原則日曜日発行)
>
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>
> 御意見・御感想は:
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>再稼働後は原発新設・リプレーに転換
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>
> 杉浦 正章
>
>世界の潮流は圧倒的に原発依存だ
>
>エキセントリックな原発再稼働阻止の越権行為を繰り返してきた新潟県知
>事・泉田裕彦がなぜか一変して常識的な「真人間」に戻ったように見え
>る。東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働申請を認め、事態は来年
>春の再稼働に向けて大きく動き出した。
>
>既に現在停止中の50基中14基が原子力規制委員会に再稼働の申請をしてお
>り、冬には再稼働が開始される。
>
>しかし大きな方向としては世界一厳しい安全規制によって、50基の原発は
>20〜30基に減少せざるを得ない見通しが強まっている。ところが世界の潮
>流は圧倒的に原発依存の流れであり、日本は他国の原発を製造しているだ
>けでは激しい経済競争に立ち後れる上に、アベノミクスも先細りにならざ
>るを得ない。
>
>現在のところは再稼働達成が最重要課題だが、中期的には筆者がかねてか
>ら主張しているように安倍政権は時期を見て原発新設または廃炉原発の新
>型へのリプレースを断行する方針を打ち出すしかない。
>
>世界の原発市場はアジアを中心に今後20年間で100基を超える新設が予定
>されている。1基5000億円かかるから、100基で50兆円の大市場だ。既に
>首相・安倍晋三は成長戦力の柱と位置づけ、昨年前半はトップセールスを
>展開し、大きな成果を上げてきた。
>
>しかしロシア、韓国、中国などがこの市場を虎視眈々と狙って既に動き出
>している。問題はその製品の質である。原発業界では「チャイナ・韓国リ
>スク」がささやかれている。それはそうだろう。「墜落穴埋め新幹線事
>故」の例に見られるように、中国はまだまだ大型精密工業の段階にない。
>
>韓国も売り出しに躍起だが、原発だけは低価格で競争すべきものではな
>い。製品も質も最低の状況にあり、最近では偽造部品による建設が発覚し
>て、国内23基中9基が停止を余儀なくされる事態に至っている。国内原発
>すら不良品では原発輸出などおこがましいのである。
>
>チャイナ・韓国リスクの原発で東南アジアが席巻されたら、事故が起きれ
>ば偏西風で日本は影響をもろにかぶる。
>
>そもそも輸出と言っても原子炉の中核中の中核である圧力容器は、事実上
>日本しか作る能力がなく、世界の原発市場の8割を制している。日本製鋼
>所が一手に引きうけているのであり、各国とも日本製圧力容器を使って輸
>出しようとしているのである。
>
>翻って日本のエネルギー事情を見れば、国民は原発停止による電気料金値
>上げで青息吐息だ。化石燃料購入のために流出する国富は3.8兆円に達
>しており、国民1人あたり3万円に相当する。稼働しなければさらなる料
>金引き上げになり、製品コストは上昇する一方だ。
>
>コストが上昇すれば、安倍がいくら法人税を引き下げて、給与を引き上げ
>ようとしても、コストに吸収されてしまい給与には反映しない構図だ。ア
>ベノミクスを成功させるためには、国富流出を防ぎ同時にコストを下げる
>原発を早期に再稼働させるしかないのだ。
>
>このままでは消費税8兆円の半分の国富がアラブの石油成金諸国に吸い取
>られてしまうだけなのだ。
>
>再稼働で浮かび上がる構図は輸出促進との関連が極めて重要なテーマと
>なって来ることである。輸出は世界一厳しい規制基準で、世界最高の技術
>が売りになるのであろう。しかし世界に安全で最高品質の原発を売り続
>け、日本の原子力発電が旧態依然のままということは中長期的視野に立て
>ば成り立つことではない。
>
>20〜30基が稼働しても、耐用年数40年の規制でやがては死を待つばかりの
>原発となってしまうのだ。アジア諸国が日本製原発で隆盛し、日本の原発
>だけが衰退の一途をたどる構図は洒落にもならない。
>
>日本のエネルギー政策の根幹が成り立たないばかりか、アベノミクスの根
>底が崩れてしまうのだ。これは、政治がリーダーシップを発揮して原発ア
>レルギーの度が"病的"にまで極まって思考停止にある世論を説得、誘導し
>て方針の転換を図るしかない。
>
>太陽光や風力発電など自然エネルギーが理想にしても、コストや稼働率か
>ら言って原発の比ではない。ベストミックスは一つの流れだが全エネル
>ギーに占める自然エネルギーは現在1.4%に過ぎず、これが原発に取っ
>て代わる展望は現段階でも予見しうる将来でも存在しない。
>
>こうして原発再稼働の先を見据えれば好むと好まざるとにかかわらず、安
>倍政権は、新設・リプレースの選択しかないのだ。だいいち規制基準に合
>格した古い原発が稼働を許されるなら、あえて反対派の好きな言葉を使え
>ば「新安全神話」を達成しうる新型原発はなおさら稼働が許されなくては
>おかしい。
>
>安倍もかつては新設を語っている。昨年大晦日のどさくさで大きくは報道
>されなかったが、安倍は12月30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり
>「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは
>全然違う。
>
>国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べ、新
>規の原発建設を容認する姿勢を示しているのだ。今は発言を控えている
>が、本音はそこにあるのだろう。技術力はどんどん進歩する。
>
>しかし将来に展望がない産業と若者が見限れば、世界に冠たる原子力製造
>技術の継承も人材の継続も続かなくなる。汚染水の問題を早急に処理し
>て、再稼働から新設・リプレースへの流れを明示してゆくべきである。
>
> (政治評論家)<2013年10月01日>
>
>
>
>━━━━━━━━━━━
>まだ自由貿易区の実験?
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>◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆
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>「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
>平成25(2013)年9月30日(月曜日)貳
> 通巻第4033号
>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
>
> まだ自由貿易区の実験? 上海自由貿易実験区がオープンしたが
> 進出した外国銀行はわずか二行、李克強首相は欠席
>*********************************
>
>あまりの寂しさに李克強首相は開所式を逃げ出したのかも知れない。
>29日、上海の浦東新区に開設された「上海自由貿易実験区」の開所式が行
>われた。
>
>しかし期待の高さとは裏腹に、シティグループとDBS銀行(シンガポー
>ル)の二行しか、この自由貿易実験区に進出した外銀はなかった。
>
>これは屋外屋を重ねるような、不思議な特区で、いったい何がどう緩和さ
>れるかも殆ど明示されないまま、上海を金融センターに一日も早くしたい
>ために突貫工事が行われてきた。
>
>空港から浦東金融街まではすでにリニアカーも繋がっているが、いまひと
>つ共産党が主張する緩和、自由化の条件が明確でないために、外国銀行は
>進出をためらうのだ。邦銀が一行も進出しないのは、懸命と言うべきかも
>知れない。
>
>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
> 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
> ♪
>樋泉克夫のコラム
>@@@@@@@@
>
>【知道中国 972】
>「・・・うっかりものもいえんなあ、と誰かが笑った」(火野の3)
>「赤い国の旅人」(火野葦平 『世界紀行文学全集』修道社 昭和46年)
>
>
> ▽
>7人の案内人(=監視役)の中に1人、意外な人物がいた。柳田が揶揄して
>いた例の亀田東伍である。些か穿った見方をするなら亀田が火野ら日本人
>一行を監視し、その亀田を中国人案内役が監視し、さらに亀田が中国人案
>内役を監視する。まさに親亀の背中に小亀を乗せて、小亀の背中に孫亀乗
>せての伝で、一行の旅は相互監視の旅でもあったに違いない。
>
>最初の停車駅は石龍。構内に並ぶ露店に入ってみると、「店の中の壁に
>『滅縄数字公? 表』というのが貼ってある。蠅をころした個人の成績表
>である。店にはいずれも蠅たたきがかけてあった」。
>
>これまで戦前に書かれた多くの中国旅行記を紹介したが、例外なく"支那
>の汚なさ"に言及していたことは記憶されていることだろう。共産党政権
>が新中国、新中国と騒いだところで、公衆衛生に無頓着極まりない彼らの
>習性を一朝一夕で"革命的"に改められるわけがない。
>
>そこで共産党政権は「愛国公約」を定め、個々人に署名までさせさて中国
>人の衛生観念の向上に努めたようだ。つまり「滅縄数字公?表」は、その
>一環だろう。
>
>ところで、火野らの訪中から3年後の58年、毛沢東はゴリ押しする形で無
>謀極まりない大躍進政策を推し進めたが、その年の2月、共産党政権は
>「四害を駆除し衛生を講ずることに関する指示」を公布し、10年以内に
>蠅、蚊、鼠、雀の「四害」を徹底駆除する"大方針"を打ち出し、四害とそ
>れが原因として発症する疫病に対する"大宣伝戦"を始める。
>
>職場、学校、農村などで週、月、年単位で成果を点検するなど、全土を挙
>げての四害駆除運動が華々しく展開されることとなった。
>
>殊に雀の場合、人間サマにとって大事な穀物を喰ってしまうということで
>「臭虫」と呼び変え、徹底駆除運動となった。
>
>雀を見つけたら、総勢で鍋や釜を叩き音をたてて驚かせる。電線に止まろ
>うものなら、ガンガンと。雀はおちおち休めないから飛び立つ。疲れて電
>線へ。またガンガン。そこで飛び立つ・・・これを繰り返すうちに奔命に
>疲れ果てた雀は地上に落下し捕獲される。これが全人民を挙げた人海戦術
>による四害退治の実態だ。
>
>だが雀退治の戦果が上がるにしたがって、肝腎の穀物に対する害虫被害が
>増大した。この時点なって、雀は臭虫などではなく、益鳥だと気付く。か
>くして雀退治は即刻中止となり、雀の名誉は回復された次第だ。実にモノ
>ゴトの道理を弁えない連中だ。
>
>この調子で反右派闘争からはじまり、大躍進、社会主義教育運動、文化大
>革命と挙国一致しての大騒動。その先に現われたのがトウ小平による「先
>富論」、つまり「商才の有るヤツはどんな汚い手をつかっても構わないか
>らカネ儲けせよ!」の大号令となる。商業民族としては願ったり叶った
>り。トウ小平サマサマだ。
>
>天下御免、カネ儲け万々歳。どうやら建国以来の中国に最も似つかわしい
>形容が"喧噪"で、相応しくないのが"静謐"の2文字。
>
>再び火野の旅へ。しばらく進むと「部落にはどこも高い望楼様の塔があ
>る」。若い案内人は「あれは昔地主が搾取していた時代は、農民の反抗を
>防ぐためのトーチカだったけれど、今は肥料倉庫になっていますと教えて
>くれた」が、この説明はおかしい。
>
>火野が綴る車窓から見える農村風景から判断すると、どうやら線路の両側
>に広がる田畑で働いている農民は客家のようだ。客家は先住者の住む農山
>村一帯に後から移住してきただけに、先住者からするなら自分達の権益を
>侵す不埒モノであり"異質"な存在である。
>
>いわば広東の農村に出現したエーリアンということになる。そこで先住広
>東人農民は客家農民を攻撃する。これに対し少数者の客家はレンガで要塞
>のような集合住宅を建て自衛手段に打って出る。
>
>おそらく火野が目にした「高い望楼様の塔」は「農民の反抗をふせぐため
>のトーチカ」ではなく、客家の集合住宅が備えた自衛用の望楼だったはずだ。
>《QED》》
>
>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
>読者の声 どくしゃのこえ READERS' OPINIONS 読
>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
> ♪
>(読者の声1)学徒出陣70周年戦没学徒追悼会のご案内です。大東亜戦争
>がいよいよ苛烈を極めてきた昭和18年秋全国の青年学徒が祖国の危急を救
>わんとペンを捨てて剣をとり戦場へ赴きました。
>
>その学徒出陣から満70周年を迎える今年、出陣学徒壮行会が行われた10月
>21日場所も神宮外苑競技場(現在の国立競技場)において戦没学徒追悼
>会を開催します。どなたでも参加できますのでご案内いたします。
> 記
>日時 平成25年10月21日(月)12:00〜12:30
>場所 「出陣学徒壮行の地」碑前
> 東京都新宿区霞ヶ丘町10−2
> 国立競技場マラソン・ゲート内
> 地下鉄・大江戸線「国立競技場」徒歩1分
> JR「千駄ヶ谷」、「信濃町」徒歩5分
>内容 黙祷、献花、追悼挨拶など
>主催 海軍第14期飛行予備学生の会
> 早稲田大学出陣学徒の会
> 慶應義塾戦没者追悼会
> その他各大学OB有志
>連絡先 実行委員会代表
> 玉川博己 (弊会代表幹事)
> E-mail tamagawa@mishima.xii.jp
>
>
>
> ♪
>(読者の声2)貴誌に三分載されたネパール紀行を興味深く拝読しまし
>た。もう少し続くかと思ったのですが、唐突におわった印象で、カトマン
>ズではほかにも世界遺産やら、見所がたくさんあると思いますが、あれで
>おしまい? (HG生、埼玉)
>
>
>(宮崎正弘のコメント)書き出したら際限がないので、暫時休憩というと
>ころです。ほかにもパタンのダルバール広場にある世界遺産の寺院群、ボ
>ダナートのチベット寺院(これも世界遺産)など拝観しましたが、ともか
>く来年早々にASEAN十ヶ国と番外編ネパール、スリランカにドバイなどを
>加えて『アジアは中国が嫌い』(仮題、或いは『中国よ、さようなら。ア
>ジアよ、こんにちは』)としての新刊を準備しておりますので、細部はそ
>のときに書き込みます。
>
>いずれにしましても、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、ラオス、タ
>イ、フィリピン、カンボジア、ベトナム、シンガポールの九カ国について
>は『エルネオス』で連載し、また各国のチャイナタウンの実情は『共同
>ウィークリー』で連載中。
>
>ときおり、別の印象記も『月刊日本』に分載してきました。今月末にミャ
>ンマーを取材しますが、これでASEAN 10ヶ国取材は一応終わります。番外
>編はスリランカ、ネパール、そしてドバイなどです。単行本のときは、こ
>れらにインド、バングラデシュ、パキスタンを加える予定です。
>
>
>
>━━━━━━━━━━━━━━━━
>「GHQ焚書図書開封」読書メモ(2)
>━━━━━━━━━━━━━━━━
>
>
> 平井 修一
>
>西尾幹二著「GHQ焚書図書開封 - 米占領軍に消された戦前の日本」で紹介
>されている焚書図書のサワリを転写する(若者に読みやすいように新字、
>新仮名づかいに改めた)。小生の父母らが命懸けで起ち上がった時代の空
>気、背景、正義、真実をともに学んでいきたい。
>
>■大東亜戦争調査会編「米英挑戦の真相」昭和18年6月1日、毎日新聞社刊
>
><米国が日露戦争直後より今次(大東亜戦争)開戦直前に至るまで、ある
>いは排斥、あるいは圧迫、果ては弾圧など、我が国に与えた侮辱と非礼と
>は、世界四千年の国交史に稀なるものであり、また英国が明治維新前後よ
>り日清戦争まで、そしてワシントン会議より今次開戦直前まで、我が国に
>対してとった態度も、これまた米国といずれか烏の雌雄を知らんやの類
>で、ただ米国のごとき暗愚下劣なる露出的態度でなかったというにとどまる。
>
>過去幾多の米英の対日外交振りを見れば、その内容の暴慢なるはもちろ
>ん、その態度や傲岸、その言辞や横柄、なすところは悪辣非道、筆舌を
>もって形容し難きものがあり、顧みて、よくもわれわれの先輩はこれを堪
>忍してきたものだと、その自重の裏に潜む万斛(ばんこく)の血涙を、そ
>ぞろに偲ばさるを得ないほどである。
>
>かかる米英の対日非礼史、侮日史は他の分冊に譲って、ここには単に軍事
>上から、この(ABCD、注)対日包囲陣のもつ戦略的敵性を指摘するに
>とどめよう。これほどの悪辣な戦略は、歴史上未だかつてなかったと敢え
>て断言してはばからないのである。
>
>彼らが我が国を軍事的に包囲するに先立って、我が国をまず外交的に孤立
>無援にしてしまおうと企図したこと、この外交包囲にも満足せず、さらに
>我が国の窮乏、衰微を策して、我が国に対する卑劣な経済圧迫をつづけ、
>我が国をして経済的孤立に導かんとした。
>
>彼らは日本民族の移民を完全に排斥し、我が国製品の輸入や、彼らの日本
>への輸出品をば意のごとく制限したのみならず、他民族の国からまでも日
>本排斥を策し、謀略をもってこれを実行せしめた。
>
>すなわち我が国を完全に"はねのけもの"にして貧乏人にしてしまおうとい
>う策で、この排日、侮日は、ついに悪辣なる経済包囲、経済封鎖という目
>的のために手段を選ばざる結果を招来した。
>
>彼らの企図したところは、我が国を丸裸にし、丸腰にしたうえで軍事包囲
>をして、我が国を袋叩きにしようとしたのである。なかんずく我が国への
>油道(原油ルート)の切断こそ、その悪辣性の最なるものであった。
>
>油道を切断して我が国の艦船、飛行機、機械化部隊が動かなくなれば、我
>が国を刃に血ぬらずして武装解除し、少なくも我が国の軍備をして、日本
>国産の油で維持し得る程度にまで制限したのと同様である。こうしておい
>て、我が国を袋叩きにして打ちのめそうとしたのである。世界史上未だ見
>ざる悪辣なる戦略だと断言することができる。
>
>かかる悪辣性の包囲陣である。いわば挑戦そのものであったのだ。起たざ
>れば我が国は自滅するか、袋叩きにされて落命するか、であったのだ。決
>然、我が国がその自立自衛のために起ったのは、いわば当然の帰結であっ
>たのだ>
>
>■西尾先生曰く、「わが国の開戦にはこういう必然性があったのだ、たと
>え小国といえども、あれほどまでの過酷な条件を突きつけられれば起ち上
>がるのが当然だとは今までも言われているが、日本を取り巻く状況は本当
>にきつかった。
>
>この本が出た昭和18年は戦争たけなわの時期であるが、包囲陣をつぶさに
>調べており、合理的で、戦略的で、現実的な目で書かれている。リアリズ
>ムで、敵を見くびっていないし、傲慢に構えてもいないし、自暴自棄に
>なっているわけでもない。それでいて事柄の困難さはよく見抜き、起たざ
>るをえないと言っている。このときの日本人の勁(つよ)さは謎だが、歴
>史の真実、事実として動かない。
>
>戦争が終わっても「戦後の戦争」は続いていた。対日包囲陣は焚書あるい
>は検閲というかたちで戦後も継続し、今の日本をも脅かしているのであ
>る」。(2013/09/30)
>
>・・・
>注)ABCD包囲陣:アメリカ(America)、イギリス(Britain)、中華民国
>(China)、オランダ(Dutch)による対日貿易制限、敵対網。
>
>J.F.C.フラーは「制限戦争指導論」のなかで、「ABCD包囲陣は経済戦争の
>宣言であり、実質的な闘争の開始であった」「大西洋会談において、米国
>のルーズベルトが英国のチャーチルに対して『私は決して宣戦布告をやる
>わけにはいかないでしょうが、戦争を開始することはできるでしょう』と
>述べ、チャーチルは後日『われわれの共同禁輸政策は確実に日本をして平
>和か戦争かの瀬戸際に追いやりつつあります』という書簡を送った」とし
>ている。
>
>
>
>━━━━━━━━━━━━━━━
>ドナルド・キーンさんの歩いた道
>━━━━━━━━━━━━━━━
>
>
> 伊勢 雅臣
>
>「日本人は、日本文化を外国人には理解できないものと、信じたいのでは
>ないか」
>
>■1.「それはまさに、私にとっての喜びの瞬間だった」
>
>今年91歳になる米国出身の日本文学研究家ドナルド・キーンさんは東日本
>大震災を契機に、日本国籍を取得し、日本定住を決意した。日本文化・文
>学に関する著作は、日本語で書かれたものだけですでに30点もある。その
>キーンさんがこんな経験を記している。
>
> <数日前、私は10年前だったら起こらなかったような経験をした。ある
>婦人が私に、最寄りの地下鉄の駅への行き方を尋ねたのである。それはま
>さに、私にとっての喜びの瞬間だった。
>
>その婦人は私の外見におかまいなしに、私が駅の場所を知っていると判断
>したのだった。あるいは私がいかにも聡明そうな人間に見えて、私が日本
>人であるかどうか、よく考えなかったのかもしれない。蘭学者の長い闘い
>は、ついに実を結んだ>。[1,p332]
>
>アメリカやヨーロッパの大都市を歩いていると、現地の人に道を聞かれる
>のはしょっちゅうだ。パリでフランス人にフランス語で道を聞かれたり、
>ミラノでイタリア人にイタリア語で道を聞かれたりする。現地人の雑踏の
>中なのに、なぜわざわざ東洋人の顔をした当方に聞くのだろうか、と不思
>議でならない。日本で外人に道を聞くことは、今でも私には考えられない。
>
>それだけ、当方には「外人が日本の道を知っているはずがない」という確
>固たる迷信があるのだろう。アメリカ人として長年、日本文学を研究して
>きた「蘭学者」キーンさんは、まさにそんな迷信と戦ってきたのである。
>
>
>■2.「刺し身は食べられますか?」
>
>「外国人には日本を理解できない」という迷信が、どれほど根強く日本人
>の間に浸透しているか、キーンさんはこんな体験を日本語で行った講演の
>中で紹介している。
>
>ある地方で講演を依頼された時のこと、依頼者はキーンさんの秘書に「先
>生は魚を召し上がりますか?」と聞いてきた。魚は日本人だけの食べ物で
>はない。もちろん、食べられる。
>
>
><しかし、まだ外国人は魚のおいしさを理解できないだろうと思ってか、
>あるいは私を試そうとしてか、「刺し身は食べられますか?」と聞きま
>す。「喜んで食べます」と言うと、日本人はだいたいがっかりします。
>「塩辛は?」「納豆は?」外国人が味を理解できそうもないような食べ物
>を次から次へと並べてみるんです。
>
>「全部食べられる」という返事をすれば、がっかりされるので、あまりに
>も気の毒ですから私は「いやそれは食べられない」というと、日本人は軽
>い優越感を覚えるようです。
>
> そういうふうに日本人は、日本文化を不可解なもの、外国人には理解で
>きないものと、信じたいのではないかと思います。それはまことに残念だ
>と思います。>[2,p291]
>
>
>■3.「自分たちだけが特別だという確信」
>
>食べ物ばかりではない。学問の世界でも同じだ。
>
><日本での生活に一つ不満があるとしたら、それは私の本を読んだことの
>ある人も含めて多くの日本人が、私が日本語が読めるはずがないと思って
>いることである。
>
>日本語で講演した後に誰かに紹介されることがあるが、中には英語の名刺
>を持っていないことを詫び、あるいは名前に読みやすいように仮名が振っ
>ていないことを謝る人がある。東大の某教授などは、私が書いた『日本文
>学の歴史』を話題にして、「あなたが文学史で取り上げた作品は、翻訳で
>読んだのでしょうね」と言ったものである。>[1,p346]
>
>
>「翻訳で読んだのでしょうね」と言われた時のキーンさんの憮然とした表
>情が思い浮かぶ。前節の講演では、多少の抗議も込めて、こう語っている。
>
>「皆さんの中でも少なくとも三割ぐらいは私は日本の文字を読めない、読
>めても日本の小学生ほどしか読めないはずだと思っていらっしゃるのでは
>ありませんか。しかし、どんなに頭の悪い外国人でも、39年間勉強しま
>したら、小学生より覚えているはずです」。[2,p291]
>
>キーンさんは「自分たちだけが特別だという確信を、このように強く抱い
>ている国民が他にいるとは思えない」とまで言っているが[1,p309]、その
>強い言葉は、こういう経験から来ている。
>
>ただ、この「特別」というのは、「特別に優れている、抜きんでていく」
>ということよりも、「特殊」ということだろう。
>
>
>■4.「『源氏物語』に心を奪われてしまった」
>
>成人してから日本語を勉強したアメリカ人キーンさんが、中公文庫版で
>220巻近くある浩瀚な『日本文学史』で『古事記』から三島由紀夫まで論
>じ、また新潮文庫版で4巻本の『明治天皇』を6万部も売り、毎日出版文
>化賞を受賞した。その業績そのものが、「外国人には日本文化は分からな
>い」という迷信を打ち砕いている。
>
>しかし、生粋のニューヨーク子だったキーンさんは、どんなきっかけで日
>本文化、文学を研究するようになったのだろう。
>
>それは1940年秋、ドイツがフランスを占領し、英国までも空襲するように
>なった時期だった。ニューヨークの中心にあるタイムズ・スクエアの、い
>つも立ち寄る本屋で、ある日、"The Tale of Genji"(『源氏物語』)と
>いうタイトルの本が山積みされているのを見つけたことだった。挿絵か
>ら、日本に関する本だと察し、買ってみた。
>
>「やがて私は、『源氏物語』に心を奪われてしまった。アーサー・ウェイ
>リーの翻訳は夢のように魅惑的で、どこか遠くの美しい世界を鮮やかに描
>き出していた。私は読むのをやめることが出来なくて、時には後戻りして
>細部を繰り返し堪能した。
>
>私は、『源氏物語』の世界と自分のいる世界とを比べていた。物語の中で
>は対立は暴力に及ぶことがなかったし、そこには戦争がなかった。・・・
>
> 源氏は深い悲しみというものを知っていて、それは彼が政権を握ること
>に失敗したからではなくて、彼が人間であってこの世に生きることは避け
>ようもなく悲しいことだからだった」。[1,p51]
>
>遠い国の遠い昔の、戦争のない平和な時代の物語であっても、源氏の「こ
>の世に生きる悲しさ」に深く共感したところから、キーンさんの日本文学
>への道は始まった。
>
>
>■5.「貴族的プチブル的腐敗した西欧人」
>
>昭和28(1953)年、キーンさんは京都大学大学院に留学して、京都に住むよ
>うになった。その初期の頃に雑誌「文学」から依頼されて書いたのが、
>『日本文学の古典』という本の書評だった。これは日本文学をマルクス主
>義に基づいて解釈した本だった。
>
>
><私は読んで、愕然とした。この本が『古今集』に触れていないのは、そ
>れが貴族によって書かれたもので民衆の手で書かれたものではないから
>だった。『源氏物語』は、支配階級の矛盾を暴露した作品として取り上げ
>られていた。他の作品が称賛もしくは貶(けな)される基準は、それが
>「民主的」であるかとうかに掛かっていた。?>[1,p170]
>
>
>キーンさんが書いた書評は数ヶ月待たされ、その本の著者の一人による反
>論と一緒に掲載されていた。その著者はキーンさんが依頼されて書いた原
>稿を「投書」として片付け、キーンさん自身を「貴族的プチブル的腐敗し
>た西欧人」と非難していた。
>
>源氏の「この世に生きる悲しさ」に共感したキーンさんと、「支配階級の
>矛盾を暴露した作品」としてしか取り上げない生粋の日本人と、どちらが
>真の日本文学の理解者かは、言うまでもない。
>
>日本文化は、外国人でも豊かで素直な感性を持っている人には深く味わえ
>るものであり、生粋の日本人として生まれても空想的理論で頭が一杯に
>なった人間には理解できないものである。いや、日本文化に限らず、すべ
>ての文化とはそういうものであろう。
>
>
>■6.『曽根崎心中』の「道行」
>
>キーンさんの日本文学研究がどのようなものか、そのごく一端を紹介しよ
>う。キーンさんは若かりし頃、近松門左衛門の浄瑠璃の翻訳に取り組ん
>だ。その中で、相愛の男女が死に場所を求めてさまよう「道行(みちゆ
>き)」の場面が出てくるが、そこで次のような発見をする。
>
>
><ふつう日本人の現代語訳では、「道行」の韻文はただの飾りとして無視
>され、削除されていた。近松研究家としての私の一番重要な発見は、「道
>行」の劇的重要性にあったのではないかと思う。
>
>「道行」の間に、徳兵衛も治兵衛も(あるいは、近松のどの世話物の主人
>公でもそうだが)優男(やさおとこ)から、愛人と心中できる悲劇の主人
>公へと変貌するのだった。私は、これを「歩きながら背が高くなる」と書
>いた。>[1,p214]
>
>
>私も人形浄瑠璃の『曽根崎心中』を見たことがあるが、この点には気がつ
>かず、いつまで心中場所を求めてうろうろしているのだろう、と思っただ
>けだった。事前にキーンさんの解説を読んでいたら、この物語をもっと深
>く味わえただろう。
>
>それにしても、こういう深い解釈に接すると、それを書いている人が日本
>人か、アメリカ人か、などという事は意識に上らなくなる。人間性の根っ
>こまで到達した表現には、言語や慣習の違いを突き抜けて、人間としての
>共感を呼ぶ。
>
>キーンさんが、遠い異国の遠い昔の物語である『源氏物語』に心を奪われ
>たのも、それと同じ事なのだろう。
>
>
>■7.ヨーロッパに大きな影響を与えた江戸時代の美術品
>
>優れた文学や芸術は、国境も言語、宗教、民族の違いも超えて、人間の心
>の奥底で共鳴する。キーンさんの日本文学研究がその卓越した実例だが、
>こうした例は過去の歴史の中でも事欠かない。キーンさんは「世界の中の
>日本文化」の講演の中で、日本の江戸時代の工芸品がいかにヨーロッパで
>評価されたかを、紹介している。
>
>長崎の出島にはオランダ人が住んで、日本との貿易をしていたが、それは
>日本がヨーロッパを知る窓であるとともに、ヨーロッパが日本を知る窓で
>もあった。出島のオランダ人は陶器や磁器を日本から輸出した。
>
><陶器はヨーロッパにはありましたが、日本のものと比べると粗末なもの
>でした。日本の陶器に出会って、陶器というのはこういうものだと初めて
>分かったのです。オランダ人は日本人のまねをするようになりました>。
>[2,p277]
>
>それが現在のオランダのデルフトという町に伝えられているデルフト焼き
>で、日本の染め付けの真似だという。中国も伊万里焼の真似をしていた
>が、粗末な安物しか作れず、ヨーロッパでは日本のものが高く売れた。そ
>れ以外にも、日本刀、浮世絵、漆器、蒔絵(まきえ)、扇子、屏風などが
>高く評価されていた。
>
>浮世絵はヨーロッパの芸術家にも大きな影響を与えた。ゴッホのある絵の
>背景に、浮世絵が描かれている事も有名である。
>
><ヨーロッパの19世紀の画家で日本の浮世絵の影響を受けなかった人は、
>ほとんどいなかったと思います。パリの近代美術館に行きますと、各画家
>の部屋があって、その中に、アトリエにあったような道具とか、物が置い
>てありますが、すべての画家のアトリエに浮世絵があったということがわ
>かります。浮世絵はヨーロッパの芸術家に大きな影響を与えました。革命
>的な影響を与えたともいえるでしょう。>[2,p287]
>
>■8.一つの民族がその文化を深めていけば
>
>現代日本の芸術も、世界に大きな存在感を示している。たとえば最近、引
>退宣言をしたアニメの巨匠・宮崎駿。海外でも大きなニュースとなり、引
>退を惜しむファンの声が寄せられた。〓
>
> ・(アメリカ)いろんな外国映画があるけど宮崎の作品は字幕がいらな
>い。アニメだけで楽しめる。外国の伝承とか昔話を知らなくても、一度観
>てほしいな。
>
> ・(フランス)『千と千尋の神隠し』には衝撃を受けたな。詩的なタッ
>チと日本独特の慣習、民俗が融け合っていた。まさに傑作だし、アメリカ
>のアニメーションとは比べ物にならないレベルだと思うよ。
>
> ・(スペイン)彼の作品のストーリーや絵は、まるで夢の断片の組み合
>わせのようだった。巨匠・宮崎がもう作品を作らないのかと思うと寂しいよ。
>
>これらの感想は、キーンさんが「源氏物語」に魅了された光景と重なって
>くる。一つの民族がその文化を深めていけば、他民族の人々も共感できる
>人類共通の根っこに到達するのである。
>
>我が先人たちは、そうした深い文化、芸術を豊かに残してくれた。我々は
>その遺産を受けついだ者として、どれが一つの分野でもいいから、その価
>値を味わえる教養を身につけたいものだ。文学が好きな人なら、キーンさ
>んという絶好の道案内人がいる。
>
>■リンク■
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