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> オウム真理教・平田信容疑者(46)の出頭事件は、近来まれなお笑い劇だった。
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> これまでの報道をまとめると、大阪から新幹線で上京した平田容疑者は昨年12月31日夜、品川駅で山手線に乗り換え、先ず、假谷さん事件を担当している大崎署に向かった。しかし、大崎署は受付が1回に無く、エレベーターで2回に上がる構造になっている。平田は周囲を歩くが、どこが入口か分からず出頭することができない。
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> 仕方なく、警察の情報提供フリーダイヤルに電話した。しかし10数回かけたが話し中でつながらない。あきらめて110番する。「平田信の担当はどこでしょうか」と尋ねると、「警視庁です」と言われた。
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> 平田は電車で警視庁に行く。もう31日の深夜零時に近かった。入口で警備をしている機動隊員に「オウム事件で手配されている平田信です。出頭して来ました」と告げる。しかし機動隊員は冗談だと思い、「丸の内署へ行って」と追い払うのである。
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> 大みそかの深夜のお堀端を平田は600メートル程歩き、丸の内署に行く。受付にいた女性警察官に「平田です」と告げると、彼女は「ウソ!」と言ったのだという。かわいいと言えばかわいい対応だが、これでは警察として役に立たない。
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> 困った平田はその女性警官の横に並び「ほら、ぼく背が高いでしょ」と訴える。平田は183センチの長身で、手配書にも特徴として書かれている。そこでやっと、晴れて逮捕してもらえた。あまりに間が抜けていて笑ってしまうしかない。警察はまじめに仕事をしているのか、この税金ドロボー、と言われても仕方あるまい。
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> 平田事件の警察に限ったことではない。昨年3月の福島第一原発の事故では、危機管理に責任のある官の機関がいかに役に立たなかったかを思い知らされた。当時の菅首相は原発事故に際し、緊急の対応として、�原子炉の安全確保、�爆発を予測しての住民避難、を最大眼目にした。
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> 住民避難には、放射能がどの方向に、どのくらい飛散するかの情報が重要になる。そのために政府はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)という、数百億円もする装置を備えていた。避難範囲は、そのSPEEDIの予測を参考に決めることになっていた。装置は一時間毎に予測図を出してくる。しかし、保安院職員が懸命につくった167 枚の予測は、官邸の保安院長に届かなかった。そのため、官邸はデータがないまま、同心円での避難指示を出し続けるという失態を演じた。SPEEDIの利用を直ちに菅首相に進言しなければならない、保安院長も安全委員長も、そうしなかった。
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> 一方、14日の段階で外務省にSPEEDI情報の提供を求めてきた米軍はSPEEDI情報を1時間毎に手に入れていた。米軍が知っていることを、官邸だけが知らなかったのである。安全委員会の斑目委員長は原子力を専門にする元東大教授だ。しかし「原子炉は爆発しません。爆発しないように設計してあります」と菅首相に言っているうちに、爆発が起きた。
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> 平田事件は、被疑者自身があきらめずに警察を歩き回ってくれたおかげで決着した。しかし飛散する放射能はそんな悠長なことをしてくれない。笑いごとですむ話ではない。わが国の官僚機構は半世紀のぬるま湯の中で機能不全に陥った。原発事故と平田事件が警告を発している。
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