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2012年2月28日火曜日

Fw: 福島原発事故と水俣病の教訓

> 今日は少し前の東京新聞からの抜粋です。重い話です。
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> 公害病の原点となった、水俣病研究・治療の第一人者で、熊大助教授、熊本学園大教授を務めた原田正純医師に聞いた。
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> 福島原発事故では、高濃度の汚染水が海に放出され、魚介類からも高濃度の放射性物質が検出された。放出の際、複数の専門家たちは「放射性物質は海水で薄まるので、環境への影響は少ない」などとコメントした。
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> 原田医師は「これを聞いて、腰を抜かすほど驚いた。海で薄まるから大丈夫なんて、学者の言うことか。水俣では海で薄められた有機水銀を食物連鎖で魚介類が濃縮して大変なことになった。教訓がまったく生かされていない」と憤る。
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> 当初、原田医師は原発事故は地震と津波による天災だと思った。だが、次第に「人災だ」と確信するようになった。人為的に引き起こされた広大な環境汚染。国策と企業の利益が優先され、住民が切り捨てられてきた。水俣病と原発事故の共通点に思いをはせる。
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> 「行政は自分らに都合が良い学者だけを重用する。僕は何十年も水俣病患者を診てきているけれど、一度も行政の委員会に呼ばれたことはない。国から一銭も研究費をもらってないのは、むしろ誇りですけどね」
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> 原発の危険性を指摘する学者たちも徹底的に排除されてきた。「原子力推進は国家そのもの。圧力は水俣病の比ではないだろう」と推測する。ただ、一方で「原発災害は水俣よりもはるかにやっかいだ」と話す。
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> 水俣病には手足の感覚障害など特徴的な症状がある。しかし、放射性物質によるがんなどの発症は、他の原因による場合と区別がつきにくい。放射性物質には複数の種類があり、人体への影響はより複雑だ。しかも健康被害が表面化するまでに何年、何十年とかかる。
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> 原田医師は「被害の認定をする機関は医者だけで構成してはだめだ。住民代表を入れる必要がある」と訴える。自らの水俣での経験から未知の分野では、既存の知識で説明しようとする医師は逆に誤りやすいという。
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> 水俣病では当初「母体に守られた胎児に影響はない」という説が支配的だった。しかし、「みんな同じ症状じゃないか」という当事者の母親たちの言葉をきっかけに、原田医師らは胎盤を通じて中毒になる胎児性水俣病を初めて立証した。
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> 加えて、原田医師がよく使うのが「差別のある所に公害は生まれる」という言葉だ。訪れた場所の1つにインド中部ボパールがあった。そこで1984年、米ユニオン・カーバイド社の農薬工場が爆発した。工場には5種類の安全装置があったという。 「その5つが同時に作動しなくなるのは、天文学的な確率と言われていた。まるで今回の原発事故も同じだ。安全性は確率では計れない」 死者は一夜で2千人以上、5万人が中毒になったと言われるが、貧困層が集住するスラム街で起きた事故ゆえ、被害の全容は分かっていない。
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> 事故翌年に原田医師が現地を訪れると、死んだ赤ん坊を抱いた母親像が建てられていた。台座には「ノーヒロシマ ノーボパール 私たちは生きていたい」とあった。
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> 今回の原発事故では、税金が賠償に投入されそうだ。「納税者は被害者救済という第三者感覚ではなく、賠償という認識を持ち、東電や国の責任を明確にしなくてはならない」と力を込める。
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> 原発事故も水俣病も根幹には「豊かな暮らしを支える技術革新のプラス部分だけを求め、マイナスを社会的弱者に押しつける」という風潮があったと原田医師はみる。その結末が導いた単純な教訓をこう語った。 「でも、そのために命や健康を失う人がいる。幸せな社会だろうか」
>◎今日の特ダネ
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