2013年10月27日日曜日

Fw: 110号 超臨界流体

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>■  110号 超臨界流体
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>水は、大気中では100℃で沸騰するが、圧力を上げると沸点も上昇する。さらに温度と
>圧力を上げていくと液体と気体の区別がつかなくなる。この点を臨界点という。水の
>臨界点は374.1℃、22.06MPaだ。
>
>臨界点を越えた温度や圧力の状態にある流体が超臨界流体だ。超臨界流体は、物質を
>溶解するという液体的な性質と、拡散性に優れているという気体的な性質の両方の特性
>を備えている。
>
>水は塩などの電解質や砂糖などの有極性有機物質を溶かすが、気体や無極性有機物質の
>油脂は溶かさない。しかし、超臨界水は気体や無極性有機物質をも溶かすことができる。
>
>二酸化炭素(CO2)も、高温・高圧下で気体と液体の性質を兼ね備えた超臨界CO2となる。
>この超臨界のCO2は、植物や酵母から香料や医薬品の成分、コーヒー豆からカフェイ
>ンを抽出するのに利用されている。
>
>二酸化炭素は、無害で、無極性分子なので有機溶媒と同じように油脂類を良く溶かす。
>しかし分子量が小さいため、分子量のおおきな溶質の溶解力は小さい。
>
>超臨界二酸化炭素は、油などに対する親和性が高く、油脂や香味成分をよく溶かす。
>毒性や引火性がないので、有機溶媒では困難な操作を行なうことができる。
>
>コーヒー豆から香り成分を損なうことなくカフェインだけを取り出し、圧力を下げるだ
>けで二酸化炭素は飛ぶ。洗う必要はない。同じように、ポテトチップスから油分を取り
>除くのにも使われている。
>
>有用成分を取り出すことにも利用できる。植物から特殊な香り成分や薬用成分を取り出
>す研究が盛んに行なわれている。
>
>超臨界水では、多くの有機物の熱分解反応が起こる。さらに酸素を容易に溶解し、この
>酸化力を利用してダイオキシンなどの有害物質の分解もできる。
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>間伐木材やセルロース、家畜糞尿、下水汚泥、醸造廃棄物などのバイオマスからメタン
>や二酸化炭素、一酸化炭素などが回収できる。
>
>超臨界水によるオイルサンドや重質油の改質と脱硫プロセスへの適用も研究されている。
>付加重合系ポリマーであるポリエチレンやポリプロピレンを分解すると、直鎖炭化水素、
>飽和・不飽和炭化水素、芳香族炭化水素などの油分を得られる。廃プラスチックの処理が
>できる。
>
>廃タイヤのゴムからの油分回収も試みられている。これらは超臨界水で分解した後に、
>気液分離器で生成ガスと生成油・水に分離し、さらに生成油と水は油水分離器で分離し回
>収する。
>
>超臨界水は酸化力がきわめて高い。ステンレス製の容器やバルブ、配管もすぐにダメに
>する。腐食しにくいハステロイや白金−イリジウム合金、さらに金やタンタルまでも腐
>食させる。
>
>ニッケルやチタン系の合金を使えば寿命は大幅に伸びるが非常に高価だ。そのため、
>なかなか採算が合わない。
>
>臨界点より低い温度と圧力の亜臨界水でも、常温常圧の10〜100倍も水分子が解離する。
>水自体が酸やアルカリ触媒作用を示す。亜臨界水もこの優れた溶解性と反応性により
>バイオマスなどの低分子化反応や抽出溶媒として利用が期待されている。
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>▼▼▼ 後記 ▼▼▼
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>強い者が生き残るのではない。
>生き残るのは、変化できる者だ。
>
>チャールズ・ダーウィン
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>発行者:技術コミュニケータ 安田 勉
>本メールマガジンは著作権により保護されています。(C) Copyright2013
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