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○ 平井修一のメルマガ「ガツンと一発」
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平成27年('15)9月4日 第2583号
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中共はホントに金持ちか
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平井修一
外貨準備高とは、外国為替相場を安定させる目的で、各国の通貨当局が外国為替市場へ介入するために保有している資産の額。米債を含む外国証券や外貨預金、ゴールドなど直ちに利用可能で、かつ通貨当局の管理下にある対外資産からなる。
為替介入や資産運用の原資として使用するほか、国が輸入代金の決済や、借金の返済などの対外支払いに充てるために持つ公的な準備資産としても使用されている。その国の「対外支払い能力を示す目安」でもある。(以上はネット検索による)
まあ家庭でいえば財布や金庫の中の現預金だ。昔から「勘定合って銭足らず」はよくあることで、書類上は1億円あることになっているが、実際に数えてみたら5000万円足りないとか。今の東芝みたいだ。道楽息子が遊興に使ってしまって金庫は空っぽなんていうのは結構多いのではないか。
支那は伝統的に数字とキャッシュが合わない。天文学的なキャッシュが行方不明になったりする。大昔から官吏の汚職は日常茶飯事だ。
日経9/2「中国3.6兆ドルの外準マネーは張り子の虎か」(滝田洋一編集委員)から。
<中国当局が米国債を売りに出ている。そんな話が世界の金融市場を駆け巡っている。中国の資金繰りはきついのだろうか。案の定、中国人民銀行は人民元の先物売りの規制に乗り出した。
*資本流出に音を上げた人民銀
中国人民銀行は8月25日、利下げと預金準備率の引き下げに踏み切った。その直後に人民日報(電子版)が載せた、金融緩和の理由のひとつが興味深い。
「外貨買い取り専用資金の減少、近ごろの元安と資本流出という背景の下、預金準備率の引き下げは流動性供給につながり、市場の金利上昇圧力を和らげるのに役立つ」
8月11日の人民元の切り下げを機に、資本流出が膨らみ、国内金融市場の資金繰りがきつくなっている。かくて9月1日には人民銀が資本流出の加速を防止すべく、銀行に対し元売りの規制を通知した。
外貨買い取り専用資金が減少したのは、資金の国外流出に伴うドルなどの外貨需要に、当局として応える必要があったからだ。そのためには、外貨準備として保有する米国債を売却せざるを得ない。
中国の外貨準備は依然として断トツである。それなのに、資金繰りのきつさが取り沙汰されるのは、なぜなのだろうか。この問いの答えを得るには、外貨準備の中身を知るほかない。
*拡大した開発投資に焦げ付き
「外準のうち、運用先の見当がつかない分が、少なく見積もっても1兆ドル程度はある」と、ベテランの市場エコノミストはいう。
市場関係者が気をもむのは、ソブリン・ウエルス・ファンド(平井:産油国などの政府が出資する投資ファンド)などに、使途不明の外準マネーが流れていることだ。直近ではシルクロード基金(SRF)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の元手ともなっている。
ここ10年ばかり、中国はアフリカや中南米で資源開発投資のアクセルを踏んできた。外貨準備がこうした開発投資に振り向けられているとしたら、どうだろう。
ただでさえ開発・採掘コストの高いこれらの案件は、最近の国際商品相場の崩落で火を噴いているはずだ。投入した資金も、相当額が焦げ付いていると思われる。こうみると、中国の外貨準備や人民銀行の外貨資産も、水増しされた張り子の虎ということになる。
欧州の政府債務危機の発端は、ギリシャの財政赤字の粉飾が発覚したことだった。中国の外貨準備の中身をめぐる疑惑が、新たな金融危機の火種になりはすまいか。中国による米国債売りの情報に、市場が敏感になるのもむべなるかな>(以上)
「張り子の虎」・・・毛沢東曰く「帝国主義と反動派は張子の虎である。見たところは恐ろしそうでも、実際には大した力は持っていない」。見た目と実際は違うということだ。
○○さんちは大金持ちで、いくつもの会社を経営しているし、いろいろ資金運用しているそうだ——こういう評判が長年続くと「信用」になり、銀行などが「いくらでも優待金利でご融資しますよ」となる。
じゃぶじゃぶ金が集まってくるが、実は○○さんの事業はほとんどが赤字で、大金持ちどころか借金まみれ。持ち株は紙くず同然。借金の返済は新たな借金で賄うという自転車操業だった——こういう話は結構ある。投資詐欺はその典型だ。
中共の金庫に実際いくら現預金が残っているのかは分からない。怪しげなファンドに投資した金は戻ってはこないだろう。かの国では数字は実態を反映していない。数字は担当者の創意工夫で創られること、1000年2000年前と同様だ。
慌てて金庫をチェックしたら100兆円が行方不明、投資はすべて失敗だった、という事態は大いにあり得ることだ。
政策の前提となる数字が信用できないのだから、正しい政策の打ち出しようがない。海図がない、GPSもない、これでは船はさまようばかりで、やがては座礁、沈没する。
竹中正治・龍谷大学経済学部教授の論考「中国ショックは世界不況招くか」(ロイター8/31)から。
<以下の4つの事情で、中国経済の成長率は深刻な下方屈折を起こしている。構造的な変化に適応しなくてはならない中国の苦しい過程は始まったばかりだ。
他の国々も程度の違いこそあれ中国経済の失速から受ける実体経済面の負のインパクトに備える必要がある。また、新興国投資全般は当分の間、高リスク・低リターンの「冬の時代」に入るだろう。順番に説明しよう。
*中国の構造的4重苦
整理すると、中国経済の成長率下方屈折の要因は以下の4つだ。
第1は、固定資本形成(住宅、工場設備、インフラ建設などの設備投資)依存度の高過ぎる経済成長がついに限界にぶつかったことだ。
中国政府は民間個人消費主導型の経済成長への転換を唱えている。しかし、年金から医療まで社会保障制度が脆弱な状況で国民の貯蓄率は高止まりしており、同様の転換の必要が強調された1970年代や80年代の日本以上に構造転換は困難を極めるだろう。
第2は、人口動態が経済成長の促進要因からブレーキ要因になる転換点に中国が入ったことだ。
一般に15−64歳の生産年齢人口に対する14歳以下と65歳以上の従属人口の割合を「従属人口比率」と呼ぶ。従属人口比率の低下は経済成長を押し上げる(人口ボーナス)。逆に同比率の上昇は経済成長を押し下げる(人口オーナス)。
この人口ボーナス(成長加速)からオーナス(成長抑制)への転換点を中国は2015年前後に迎えている。そして転換点通過後の中国の従属人口比率の上昇速度は、これまでの「一人っ子政策」の結果、日本よりも急である。
第3は、「ルイス転換点」に中国が至った可能性だ。
途上国がテイクオフする急速な工業化の過程では、低付加価値産業である伝統的な農業部門から、都市部の高付加価値産業の工業部門などに大規模な余剰労働力の移動が起こり、高度成長が実現されやすい。
そして農業部門の余剰労働力の底を突いた時が高成長の終焉時であり、ルイス転換点と呼ばれる。
現代的な産業では労働力の量のみならず質も問題となる。近年の中国都市部での賃金の高騰は現代的な産業部門で実際に使える労働力がひっ迫する段階に達したことを示唆している。
第4の問題は、指令経済的な体質を色濃く残し「開発独裁体制」と位置づけられる中国共産党一党独裁の政治体制と、改革開放政策で導入された市場経済メカニズムの間の軋轢、矛盾が拡大していることだろう。
「社会の物質的生産諸力は、その発展がある段階に達すると、今までそれがその中で動いてきた既存の生産諸関係、あるいはその法的表現にすぎない所有諸関係と矛盾するようになる。これらの諸関係は、生産諸力の発展諸形態からその桎梏へと一変する。このとき社会革命の時期がはじまるのである」(「経済学批判」序言)。
これはカール・マルクスの有名な一節であるが、そうした事態に今の中国が立ち至っているのは、歴史の痛烈な皮肉だろうか。経済成長の失速は、民主主義国家ならば選挙での政権交代をもたらすだけだが、中国の場合は中国共産党の一党独裁体制自体の不安定化につながるだろう。
以上の4つの制約が重なっている点に今の中国が直面している状況の深刻さがある>(以上)
中共は高度成長で潤沢な資金を蓄えた、金持ちだと、中共も世界も思っていた。ところが昨年末から今年にかけてボロが出始め、暴走、迷走し、政策も右往左往するようになった。まことに社会革命の時期を迎えている。軍事パレードは最後の花火だ。(2015/9/3)
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