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2012年11月30日金曜日

Fw: 政治経済レポート:OKマガジン(Vol.276)2012.11.28

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>政治経済レポート:OKマガジン(Vol.276)2012.11.28
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>参議院議員・大塚耕平(Ohtsuka Kouhei)がお送りする政治経済レポートです(大
>塚耕平のプロフィールは末尾に掲載しています)。OKマガジンは、1.配信希望
>登録者、2.大塚耕平が名刺交換させて頂いた方々にお送りしています。配信中
>止をご希望の方は、恐縮ですが、1.下記のメールアドレスにその旨をご連絡頂
>くか、2.大塚耕平のホームページの配信中止画面に入力をお願い致します。バ
>ックナンバーはホームページに掲載しています。
>kouhei@oh-kouhei.org
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>配信アドレス:s32074401@pdx.ne.jp
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>メルマガ前号(Vol.275)は今週日曜日(25日)。今回は続編的位置づけです。か
>つては「失われた10年」と言われていましたが、今や「失われた20年」。油断す
>ると「失われた30年」です。経済の原理原則を踏まえ、政府も企業も全力を尽く
>さなくてはなりません。
>
>1.宝の持ち腐れ
>
>雇用につながる企業活動や経済・産業構造を生み出していくことこそ、これから
>求められる重要政策です。それができてこそ、持続可能な経済・財政・社会保障
>が実現できます。メルマガ前号(Vol.275)の締め括りの一節です。
>
>したがって、企業が国内の生産・営業活動を活発化させてこそ、経済や社会の仕
>組みが回り、国(財政)が維持可能となります。
>
>バブル崩壊後の日本が「失われた20年」に陥った原因はふたつ。第1は、内外の環
>境変化に対応できなかったこと。第2は、その結果として総じて経済が低迷してい
>たこと。過去形で言いましたが、実際は現在進行形。「失われた30年」になるリ
>スクもあります。
>
>バブル時の日経平均株価の最高値は1989年12月29日の38915円(終値ベース)。一
>方、昨日(27日)の終値は9423円。30年前(1982年)とほぼ同水準。バブル時の
>最高値は異常ですが、30年前と同じというのも異常です。
>
>因みに、1982年のNYダウ平均株価は約1300ドル。現在はその10倍の13000ドル。30
>年も立てば10倍になっても不思議ではありません。
>
>このメルマガで繰り返し指摘しているとおり、経済の世界では中長期的には合理
>的、論理的なことしか起きません。異常な事態には、何か異常な原因があります。
>
>株価は短期的には投機的売買によっても左右されますが、中長期的には資本収益
>率(ROE)の影響を受けます。ROEは「Return On Equity」の略で資本(株主資金)
>の利益率を意味します。
>
>日本の株価が中長期的に異常な事態に陥っているとすれば、企業のROEに異常な傾
>向が出ているかもしれません。日本企業のROE(東証一部上場企業)は平均で約5
>%、米国上場企業の平均は約20%。異常な差と言えます。
>
>企業は資本(株主資金)を元手に生産・営業活動を行い、利益を生み出すのが仕
>事。しかし、日本企業はバブル崩壊後の「失われた20年」の間に、必要以上に保
>守的・安定的な経営姿勢になっていると言えます。
>
>資本金10億円以上の企業が保有する2010年度末の内部留保は266兆円。もちろん、
>過去最高です。大半は金融機関経由で国債等の安全低利資産で運用していますが、
>現預金も約60兆円。これではROEが低いはずです。
>
>本来、内部留保は設備投資や業容拡大、あるいは株主や社員に還元するために戦
>略的に使っていくべきもの。過剰な内部留保は「宝の持ち腐れ」。ROEが低く、株
>価が伸びず、企業活動は低迷し、「失われた20年」になるのは論理的帰結。
>
>「失われた20年」なので「宝の持ち腐れ」となっているのか、「宝の持ち腐れ」
>をしているので「失われた20年」が続いているのか。鶏と卵の関係のようですが、
>悪循環に陥っていることは事実です。
>
>因みに「宝の持ち腐れ」と同義の英語表現は、「Not possession but use is the
>only riches(所有することではなく、使用することが富である)」、「Better
>spent than spared(使わずに取っておくよりも、使うほうがよい)」。
>
>ビジネス・スピリット、アニマル・スピリットを感じさせる表現です。日本企業
>と米国企業の行動パターン、日本の経営者と米国の経営者の深層心理の違いは、
>民族的、文化的な差かもしれません。
>
>しかし、それを自己改革しない限り、「失われた20年」の出口は逃げ水のように
>遠のき、「失われた30年」の入口へと誘います。
>
>2.工夫の余地あり
>
>もちろん、企業が積極的に活動できるような環境整備をするのは政治や行政の責
>務。税制改革や規制・制度改革の成果が十分に出ていないことも、「失われた20
>年」の一因です。
>
>政治や行政がそのことに真摯かつ積極的に取り組むことを前提としつつ、企業サ
>イドの問題について考えてみます。
>
>企業が内部留保を使って新たなビジネスにチャレンジするからには、成功しなけ
>ればなりません。当然のことならが、成功は需要を獲得できなければ達成できま
>せん。
>
>そこで、メルマガVol.269で述べたような「予測できる需要」と「予測できない需
>要」に着目する必要があります。
>
>「予測できない需要」とは何か。例えば、10年前にiPod、iPhone、iPadを想像し
>た人はいなかったでしょう。スティーブ・ジョブズ氏のイノベーション(技術革
>新)によって、世界の産業構造が激変したのです。
>
>パソコン(PC)のアプリケーションユーザーは引き続きPCを使いますが、インタ
>ーネットへのアクセス端末としてのPCユーザーにはPCは必要なくなりました。そ
>の結果、2010年には生産台数でスマートフォンがPCを上回り、インターネットユ
>ーザーとPCアプリケーションユーザーが分離され始めました。
>
>日本が「世界の工場」であった1970年頃から90年頃(メルマガVol.274参照)、当
>時の日本人が想像もしていなかったであろう需要が今では一大産業分野を形成し
>ています。
>
>iPod、iPhone、iPadにも共通する通信料、PC、それに付随するアプリケーション、
>ゲームソフト、電子書籍、カーナビ、携帯電話、e.t.c.。やはりインターネット
>の普及や通信分野、IT分野のイノベーションに関するものが多いと言えます。
>
>基本的な衣食住に関しても考えてみます。「衣」の内容は基本的に変わりません
>が、ユニクロに代表される販売スタイル、ビジネスモデル面では想像もしなかっ
>た革新が起きています。
>
>次は「食」。「世界の工場」の頃、今では古い印象の言葉になりつつあるファミ
>レス、ファーストフードが登場し始めました。コンビニはその後に登場し、今や
>日常生活に不可欠の存在。やはり、「予測できない需要」でした。
>
>難題は「住」。人口増加、所得増加に伴う住宅投資が日本経済を下支えしていま
>した。しかし、今や人口減少社会で戸建てもマンションも供給過剰状態。空家・空
>室率は上昇。需給バランス崩壊に伴う値崩れは、国民に逆資産効果ももたらして
>います。
>
>「住」に関しては、政治・行政も民間企業も発想の転換を図る必要があります。
>これまでと同じ発想で現役・将来世代に住宅投資負担を課すと、当然、「衣」
>「食」に対する支出、消費性向は抑制されるでしょう。
>
>「住」の分野には「予測できない需要」を生み出すマグマが溜まっているような
>気がします。「住」は持ち家がこれからもベストか。少子高齢化社会・賦課方式
>の下で社会保障を支える現役・将来世代に、今後も「住」に対する私的投資を要
>求するのか。「住」に関しては「工夫の余地あり」です。
>
>一方、「予測できる需要」が期待される3つの代表分野は医療・介護、食品、新エ
>ネルギー。このうち、食品、新エネルギー分野については、先進性・戦略性のあ
>る企業に大いに頑張ってもらいたいと思います。
>
>医療・介護には悩ましい問題があります。医療・介護の主たる需要者は高齢者。
>高齢者が自己負担しないと、需要はあるものの、その対価は税金や社会保険料と
>いうかたちで現役・将来世代が負担せざるを得ません。
>
>一方、国民の金融資産(購買余力)の7割は高齢世代が保有しています。さて、こ
>の購買余力と医療・介護需要をどのように連動させるかについては「工夫の余地
>あり」です。
>
>コーホート(世代の固まり)としてはこういう話になりますが、蓄えのない高齢
>者個人のことを考えると深刻で悩ましい問題となります。「工夫の余地あり」と
>いうよりも、「工夫」しなくてはなりません。
>
>「予測できる需要」の医療・介護の需要の対価を現役・将来世代に過度に負担さ
>せると、結果的に現役・将来世代の「予測できる需要」への支出抑制につながり
>ます。
>
>「予測できない需要」を自ら生み出し、「予測できる需要」を確実に活かしてい
>く。政治・行政がそうした動きを徹底してサポートするとともに、企業は潤沢な
>内部留保を「宝の持ち腐れ」とすることなく、技術革新・生産・営業活動を活発
>化させていくことが求められます。
>
>3.雇用を守る責務
>
>メルマガ前号でもお示ししたとおり、景気判断の「指標」が「GNP」「GDP」「G
>DI」「GNI」とシフトしている背景には、海外所得収支に関する考え方の変化があ
>ります。
>
>内需増加に期待がもてないなら、外需を獲得するということです。外需にも「予
>測できる需要」と「予測できない需要」があります。海外の「予測できる需要」
>を日本の企業や産業に取り込み、「予測できない需要」も生み出していく。この
>チャレンジ精神なくして「失われた20年」からの脱出は困難です。
>
>外需を取り込んで海外生産・投資に成功しても、「GNI」だけが伸びて、国内雇用
>にはつながらないこともあります。その場合、結局「GDP」や「GDI」が低下して
>「GNI」も反転下落するでしょう。つまり、海外所得収支はプラス、国内所得はマ
>イナス、合算でもマイナスという事態です。
>
>尖閣諸島を巡って混迷する日中関係。政府主導の対日デモで改めて認識された中
>国リスク。しかし、だからといって外需の観点からは13億人中国市場を軽視する
>わけにはいきません。
>
>対日デモが発生した直後、テレビ番組で「森松工業」という企業の特集を偶然見
>ました。「森松工業」はステンレスタンクの国内トップ企業。中国で快進撃を続
>けている秘訣は何かという視点からの特集でした。
>
>「森松工業」は、医薬品・原子力設備・油田開発設備等に関連する子会社10社の
>中国現法集団「上海森松」を形成。「上海森松」はグループ全体の売上高の約3分
>の2、利益の9割を捻出し、2001年から8期連続の増収増益。中国政府関係者が「森
>松工業は守る」と発言するほどです。
>
>「上海森松」は日本人管理者を置かず、現地人に権限を委ねています。松久信夫
>社長は中国工場内に多数設置したモニターの映像をインターネットで見て、日本
>に居ながらにして製造工程をリアルタイムで管理・監督。72歳とは思えない斬新
>さです。
>
>「森松工業」の業容も松久社長の人柄も、テレビ番組で見た内容以外のことは知
>りません。プロフィールを拝見すると、従業員2人の会社を引き継いで成長させた
>松久社長。インターネットにアップされている中部経済新聞のインタビュー記事
>の発言も単刀直入です。
>
>曰く「中国市場は巨大。世界供給拠点の役割も一段と高まるため、現地展開を強
>化する。上海は人件費が上がっているが、まだ日本より安い。日本の給与水準に
>追いつくのは先の話。インドなど他の新興国への進出は考えていない。技術力や
>資材調達、労働力など、中国のように全てが満たされないと成功しない」。
>
>発言は続きます。「中国の学生は日本よりも学力が高い。才能とやる気を生かせ
>ば結果が出ると考え、現地の人に任せている。日系企業の多くが、現地の人を押
>さえ込んで教育しようとする。それではうまく回らない」。
>
>さらに「日本は人件費が高い。学生はレベルが低く、やる気も感じられない。大
>半の製造業経営者は、市場縮小で国際競争力も保てない国内生産をやめたいとい
>うのが本音。私も同感。だが、やめるわけにはいかない。国内550人の従業員を路
>頭に迷わせてはならない。雇用を守る責務がある」。
>
>日本の学生には気の毒な評価ですが、「雇用を守る責務がある」という発言には
>経営者としての自負と自覚が滲み出ています。
>
>中国リスクが再認識される中でも、13億人中国市場に果敢に取り組む企業の戦略
>には、3つのパターンがあります。
>
>第1は、中国企業では代替不可能な製品やサービスを提供すること。第2は、現地
>密着型で中国政府自身や現地人が進出企業を守る状況をつくること。第3は、リス
>ク軽減策を講じること(台湾・香港籍の企業を経由して中国に進出する等)。「森
>松工業」は第1と第2の戦略を駆使しています。
>
>今や「世界の工場」「世界の大消費地」となった中国。好き嫌いは別にして、13
>億人中国市場と中国リスクにどう向き合っていくかが、外需を取り込む際の重要
>なポイント。
>
>日本の政府・行政も、中国に進出する日本企業を全力でバックアップし、そのリ
>スクをカバーする体制を強化します。党派に関係ありません。「日本株式会社」
>と「中国国家有限公司」の真剣勝負。官民一体となった戦略と対応が不可欠です。
>
>(了)
>
>************************************************************************
>大塚耕平プロフィール
>▼1959年名古屋市生まれ。名古屋市立田代小学校卒業(1972年)、同城山中学校卒
>業(1975年)、愛知県立旭丘高校卒業(1978年)、早稲田大学政治経済学部卒業
>(1983年)、早稲田大学大学院博士課程修了・博士号取得(2000年、専門はマク
>ロ経済学、行財政改革論)。
>▼現在、中央大学大学院客員教授(公共政策研究科)、早稲田大学客員教授(総合
>研究機構)。所属学会は、日本財政学会、地方財政学会、日本公共政策学会、公
>共選択学会。
>▼1983年日本銀行に入行し、旧営業局(現在の金融市場局、決済機構局、金融機構
>局)、システム情報局調査役、政策委員会室国会渉外課調査役等を経て、2000年1
>2月に退職。
>▼2001年7月の参議院議員選挙で初当選(現在2期目)。鳩山内閣と第1次菅内閣で
>内閣府副大臣(担当は金融、郵政改革、経済財政、地域主権、拉致問題対策等)、
>第2次菅改造内閣で厚生労働副大臣を務める。現在、財政金融委員会理事、ODA特
>別委員会理事、行政監視委員会委員。
>▼党務は、現在、政調会長代理、成長戦略・経済対策PT事務局長、特区・地域活性
>化・規制改革・官民連携小委員会委員長、社会保障と税の一体改革調査会副会長、
>歳入庁WT座長など。
>▼この間、(社)名古屋青年会議所の政策系委員会アドバイザー、地球市民会議・リ
>ンカーンフォーラムのコーディネーター、首相公選の会(日本政策フォーラム)
>の推進リーダー等も務める。
>▼家族は妻と一男一女。中学校以来バレーボール部に所属。趣味はスキューバダイ
>ビング(PADIインストラクター)、家族とのスキー、キャンプ。
>************************************************************************
>大塚耕平事務所
>〒464-0841 愛知県名古屋市千種区覚王山通9-19-2F
>TEL 052-757-1955 FAX 052-751-8113
>〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館1121号室
>TEL 03-6550-1121 FAX 03-6551-1121
>kouhei@oh-kouhei.org
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