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2012年5月1日火曜日

Fw: <国際派時事コラム>地球温暖化論への疑問とエネルギー政策(下)

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>◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
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>   地球温暖化論への疑問とエネルギー政策(下)
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>■■■■第341号■■■平成24年5月1日発行■■■◆
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> 世の中の人たちは、たぶん実感がわかないのだろう。
> 産業界の傍流が官界の傍流とつるんで、未来世代にまたひ
>とつ重荷を背負わせようとしている。
>
> 開発途上の技術にもとづく太陽電池による不安定な(=価
>値のひくい)電気を、火力・原子力の発電コストの4倍の単
>価で20年間買い取る制度が、7月に始まる。
>
> 孫正義は大喜びだろうが、わたしはほんとに怒っている。
> 今年度はこの流れをもう止められそうにない。
>
> 制度としては、買取価格と買取期間を毎年見直すことにな
>っているので、来年度は買取価格を大幅に引き下げて、悪徳
>業者に冷水を浴びせかけてほしい。
>
>
>■ 太陽光発電協会の言い分をマル呑みの経産省 ■
>
>
> 太陽光発電による電気を1キロワット時あたり税込み42円
>で今後20年にわたって電力会社に買い取らせましょう。
> もちろん、すべて電気料金の値上げにつながる。
>
> 経産省はそういう方針で審議をすすめている。
>
> 業界団体である太陽光発電協会の言い分をマル呑みだ。
> 誰か天下りするのだろうか。
>
> 火力・原子力の発電コストは1キロワット時あたり10円て
>いどだ。
> 42円といえば、その4倍である。
>
> 再生可能エネルギー推進論者は、つい最近までこんなこと
>を言っていた:
>
>「中国企業が太陽光パネルの生産過剰で滞貨に悩み、投げ売
>りをはじめた結果、太陽光パネルの価格が大幅に下がった。
>ここ数年のうちに、日本の電力小売価格並みのコストで太陽
>光発電が実現され、再生可能エネルギーが一気に普及する」。
>
> その意気や、よし。その言にのっとれば、1キロワット時
>の単価は25円前後でなければならない。
>
>
>■ せいぜい30円台なかばだろ ■
>
>
> わたしの本業は電力関係なので、世界各国で電力に携わる
>同僚たちと話をする。
>
> 細かいことは言えないが、日本の太陽光発電の買取価格は
>30円台の前半か半ばあたりかな、というのが意見の大勢(た
>いせい)だった。
>
>「30円台半ばで太陽光の電力買取りが決まれば、世界でも指
>折りの優遇制度だ」
>と目を輝かせる、某国の企業関係者と話したこともある。
>
>「太陽光パネルは値崩れ商品だ」
>というのは、いまや世界の常識だ。
> だから、太陽光発電の単価が1キロワット時あたり30円台
>半ばなら、事業としてぎりぎりで成り立つ、というのが業界
>の率直な見方なのである。
>
> 高価な国産の太陽光パネルを使うのでなければね。
>
>
>■ 中国製パネルを採用すれば、濡れ手に粟 ■
>
>
> 太陽光発電協会が経産省に申し入れた希望買取価格は、
>1キロワット時あたり税込み42円、これを20年間にわたって
>継続というもの。
> それでも収益率は税前6%という試算だから、けっして儲
>けてはいないとのふれこみだ。
>
> 日本製の太陽光パネルの新製品を使えば、そういう計算に
>なるのだろう。
>
> では、そんな儲からない商売に孫正義氏がなぜやっきにな
>るのか。
> フタを開けたら分かるだろうが、日本製パネル価格を前提
>にした42円をもらいつつ、事業者は中国製の安いパネルを使
>って利ザヤをかせぐだろう。
>
> 今や太陽光パネルの製造は不況産業の典型。
> 技術体系の違う次世代パネルが登場するまで、日本製パネ
>ルは中国製滞貨の価格には勝てない。
>
> 経産省の再生可能エネルギー全量買取り制度は、太陽光パ
>ネルがどこの国で製造したものか、一切考慮しない。
>
> 孫正義氏が中国製パネルをつかった太陽光発電所をつくれ
>ば、京セラやシャープは
>「そんなはずでは…」
>と言うだろうが、空しいつぶやきでしかない。
> 
>
>■ 原子力を考える2冊の本 ■
>
>
> さて、原子力について語ろう。推薦図書2冊。
>
>山田勝也 著 『放射性物質の正体』
>      (PHPサイエンス・ワールド新書、平成24年刊)
>
> 宇宙レベルのことから細胞レベルのことまで、中性子や陽
>子のサイズで見たとき、いったい何が起きているのか、わか
>りやすく説明してくれる良書。
>
> しかし、放射線を浴びることで生物が耐性を獲得すること
>にまったく言及がないので、ひたすら放射線はこわいものと
>いう結論になりかねない。その意味では片手落ちの本だ。
>
> その片手落ちを補うのが、この本:
>
>T.D. ラッキー 著、茂木弘道 訳 『放射能を怖がるな!』
>               (日新報道、平成23年刊)
>
> 塩を摂りすぎたら死ぬが、塩なしでも死ぬ。
> およそ自然界の物質とはそういうものではないか。
> 放射線もまた、そういう存在なのだと思い至れば腑に落ち
>る。
>
>
>■ 火力発電で笑うのは資源国と資源投資家 ■
>
>
> 電力不足は原子力に頼らず、ガスタービン発電で解決すれ
>ばよいではないか、という説がある。
> 短期的には正論だが、長期的には愚論だ。
>
> 火力発電が嘆かわしいほどの国富流出につながることを、
>もっと意識してほしい。
>
>≪火力で原発1基分の発電をすると、1日に2億円前後の燃
>料代がかかる。
>約50基では100億円だ。
>
>定期検査後の原発を滞りなく再稼働させていさえすれば必要
>のなかった100億円の国富が毎日、消えている。
>1年だと3兆円を超える額だ。≫
>
>(産経新聞、平成24年2月24日「主張」より)
>
> 率直にいえば、わたしの勤務先の商社は、天然ガスや石炭
>を日本の電力会社へ供給することで大きな利益を上げている
>から、原発反対論者が頑張れば頑張るほど短期的には儲かる。
>
> しかし、商社や運搬業者の取り分を除けば、天然ガスや石
>炭価格の大部分は資源国や海外投資者が儲ける部分だ。
> 火力発電は日本の富を流出させる。
>
>
>■ 国富流出と国富還流の区別 ■
>
> 原子力発電で国富が流出する部分といえば、原料ウランく
>らいなものだ。
> 原料ウランを原子燃料に加工するところから日本国内で行
>っているから、国富の流出が極めて少ない発電方式だ。
>
> 原子力プラント設備が高価なのも、日本人が精緻な設計を
>して、日本人が製造過程で厳重な検査を行うからだ。
>
> 金額の全貌が公表されることは決してないが、原発の地元
>に落とす補助金+アルファが原子力発電コストのかなりの部
>分を占める。
> これも、国富の流出ではない。
> ゼニカネが日本の国内を還流しているだけだ。
>
> 廃炉にするためのコストもつきつめれば、惜しみなくカネ
>をかけて日本人が解体・運搬し、日本人が深い穴を掘って埋
>め、日本人が国産セメントやガラスで封じ込める作業である。
>
> 国富の流出ではない。
> ゼニカネが日本の国内を還流するだけだ。
>
> 発電コストを論じるとき、メディアにお願いしたいことが
>ある。
> 国富流出の部分と国富還流の部分を分けて論じてほしい。
>
>
>■ 国富の無駄づかいによる不景気で死人がでる ■
>
>
> 太陽光発電に1キロワット時あたり42円払っても、その電
>気は不安定なものだから、電力会社はその大部分を「余剰電
>力」として扱う。
> 要は、捨てガネである。
>
> 限りある国富を無駄づかいしては、景気も悪化し、きょう
>もまた鉄道で「人身事故」が起きる。
>
> 福島原発の事故で、純粋に放射線被曝によって死んだひと
>は、依然としてゼロである。
> しかし、原発を停め、太陽光発電業者に巨額の捨てガネを
>払うことにより、景気悪化で自殺するひとは確実に存在する。
>
> 反原発・新エネ推進の人々は、そういうところに思いが至
>らない。
>
>
>===
>
>▲ 後記 ▼
> 
>
> 最近のブログから ——
>
>
>野村 進 著 『島国チャイニーズ』 (講談社)
>http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/201204300001/
>
>
> 勤務先の今年の新入社員には、在日中国・台湾人(=本書
>でいう「島国チャイニーズ」) が「全体のウン・パーセント」
>といえるくらい多かった。
> 日本国籍をとり日本名を名乗っている人たちを入れると、
>その数はさらに多い。
>(具体的な人数は、社秘にあたろうから書かない。)
>
> 日本社会における在日中国・台湾人の比率に比べれば、突
>出しているといってもよい。
>
> 日教組におもねる文部科学省が、日本の原住民らに「手抜
>き教育」(=通称・ゆとり教育)政策を実施した成果がみご
>とに表れた、のかどうか。
>
> (手抜き教育政策に影響をうけて没落したのは、日本社会の
>「中」以下のひとたちであって、「上」に属する層は関係な
>かったろうというのが、ぼくの希望的推測なのだけど。)
>
>*
>
> だからといってぼくに反感や危機感があるかというと、そ
>うではない。
>
> 中国側の利益を追求するスパイが混じっているかもしれな
>い、などと言い出したらキリがない。
> そんなことを言い出したら、北京や上海の事務所の職員を
>全員、日本人で固めねばならない。
>
> いまどき心から共産党に通じるひとがどれほどいるのか。
> 共産党への反発がひときわ強い人々こそ、在日中国・台湾
>人のなかにいるはずだし。
>
> それより何より、わが社を選んでくれた在日中国・台湾人
>諸氏にも個々人の才能を遺憾なく発揮できるような職場であ
>るよう心をくだくのがぼくの役回りというものだ。
>
> 中国や台湾で教育を受けていれば、「国家のない非武装の
>世界がいちばん幸せだ」みたいな気持ちのわるい日教組思考
>とは無縁であるに違いない。
> ぼくにとっては、よっぽど話が通じる人たちだ。
>
>*
>
> 『島国チャイニーズ』 はイキのいい本。読んでよかった。
>
> 劇団四季の中国人俳優や、芥川賞作家・楊逸(よう・いつ)
>さんのことを深掘りしたルポは、もっとも 「明」 の部分。
>
> 山形県などの農村に嫁いだ中国人妻にまつわる、「そんな
>はずでは」の積み重なりと、それを少しずつ克服する人たち
>の話が、どちらかといえば「暗」の部分だろうか。
>
> 池袋の駅北口周辺がチャイナタウンと化していく過程と内
>実の描写には納得感があった。
> 池袋は旧満洲(黒龍江省・吉林省・遼寧省)出身者、蒲田
>(かまた)は福建省出身者、大宮は上海出身者の街という棲
>み分けが生まれているという。
>
> 王貞治さんの出身についての記述があった。
>
>≪王の父は台湾出身と一般の日本人には思われているが、そ
>うではない。中国浙江省青田県の寒村の生まれである。
>
>大正末に来日し、終生中華民国の国籍を変えず、子息の王も
>それに倣ったため、中華民国、すなわち現在の台湾の出身と
>誤解されているのである。≫(215ページ)
>
> ほかでも言われていることだけど、商売の継続についての
>考え方の対比も、具体的な数字が興味深い。
>
>≪中国本土でも海外でも、同じ商売の「継続」にチャイニー
>ズは日本人のようには重きを置かない。
>たとえば水商売で成功したら、その店を売り払って、社会的
>なステータスのより高い別の商売に移るのは、彼らのあいだ
>では常識である。
>
>それがひいては、200年以上継続している会社が日本には3千
>社もあるのに、中国には9社しかない現実に結びつく。
>
>なにも中国だけではなく、日本以外のアジアではこれが当た
>り前で、200年以上継続する会社は、インドにはたった3社
>あるだけで、韓国を含む朝鮮半島には1社もない。≫(253ページ)
>
> もうひとつ興味深い数字が、在日中国・台湾人の知識人の
>数。
>
>≪日本の大学で博士号をとり、その後も日本に残って就職し
>ている中国・台湾出身者は、すでに3千人を超えているとい
>う。
>
>そのうち、日本の大学で教授や准教授などになっている者は、
>2,600人にのぼる。
>
>これは、『現代中国人の日本留学』などの著書がある日本僑
>報社の段躍中 編集長があげた数字で、なんと世界中から留
>学生が集まるアメリカよりも多いのだそうである。≫(51ページ) 
>
> 意外なところで日本は開かれた社会であるということだろ
>うか。
>
>(以上、ブログ本篇全文転載)
>
>
>==
>
>
><泉 幸男 著>
>
> 『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 
>
>『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』
>
> 通 信 販 売 も 受 付 中
> http://homepage2.nifty.com/sai/mart/
>
>==
>■主宰  泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)
>
>http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
>(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
>http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
>(週に3回ほど更新しているブログ)
>
>■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp
> いただいたメールは、引用することがあります。
> 引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ
>いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の
>采配は発行者にお任せいただくしかありません。
> 発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご
>本人の事前了解をいただきます。
> 掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を
>できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを
>することがあります。
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