>> 田英夫とジャーナリストの会 【余白】
>>
>> ◎〓〓〓 実質改憲が狙いの安倍首相=麻生ナチス発言の余波
>>
>> A 麻生太郎副総理兼財務相はついに触れてはいけない問題にあまりに無造作に触れて
>> しまった。あとで撤回したが、発言そのものは残っている。撤回の釈明も例によっ
>> て「真意と異なり誤解を招いた」と型どおりで「私がナチス及びワイマール憲法に
>> 係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らか
>> である」と強弁している。
>>
>> B 話はまったく逆だろう。それじゃなぜ撤回する必要があるのかね。麻生副総理は「あ
>> の手口を学んだらどうかね」と言っているし、本人もそのことを認めている。ナチ
>> スの行為を否定的にとらえているなら、何をどう学べというのか、支離滅裂な話に
>> なってしまう。
>>
>> C ワイマール憲法は形骸化されて「ナチス憲法」は存在しないが、日本国憲法も気が
>> 付けば変わっていたというふうに静かにやろうと言いたいらしい。しかし、ユダヤ
>> 人団体であるサイモン・ビーゼンダールセンターの声明「Which〓 `Techniques'〓 of〓
>> the
>> 〓 〓 Nazis〓 Can〓 We〓 `Learn〓 From' ?」の見出しに言い尽くされているね。麻生副総
>> 理はあまりに愚かで傲慢だ。もう逃げることは出来ないだろう。
>>
>> D 麻生副総理のナチス発言は、今回の参院選での自民党圧勝により、参院でのねじれ
>> 現象が解消したことと無関係ではない。次の4年後の選挙まで、自民党は好き勝手
>> なことができる自由、そして信託を選挙で国民から与えられた、という錯覚による
>> おごりが口を滑らせたと言ってよい。ナチ発言で一番訴えたかったことはメディア
>> 封じだ。後半の靖国神社参拝に触れたときに「昔は(各総理が)静かに行っておら
>> れました。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになっ
>> た。騒がれたら、中国も騒がざるを得ない。韓国も騒ぎますよ。だから静かにやろ
>> うよ」と言っている。つまりメディアに対して政府がやることにつべこべ言うな、
>> 批判するなと訴えているのだ。言論統制につながりかねない大問題だ。ヒットラー
>> がやったことは反対勢力をつぶし、批判する新聞の発行停止までやって完全な独裁
>> 政権を樹立したんだよ。
>>
>> B 麻生副総理は「静かにやろうよ」と言った次にもう一度、最初に発言した「ヒト
>> ラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラーが出てき
>> たんですよ」という問題に戻って、「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変
>> わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの
>> 手口を学んだらどうかね」とダメ押しをする形になっている。この発言から推測す
>> るんだけれど、彼が言いたいことは、メディアがいくらグダグダ批判したって、絶
>> 対多数を取った自民党政権は何でもできるんだ。憲法改正は簡単に実現できないが、
>> 改正しなくたって、メディアが気がついたら改正したと同じ事になっているんだぞ、
>> とメディアを挑発したついでに、安倍首相をからかったというふうに受け止めたよ。
>> 彼の頭には国民をだましても自分たちが考えていることはやらねばならないのだ、
>> という独裁者的な発想があるとしか考えられない。
>>
>> D 1919年に制定されたワイマール憲法は、国民主権、男女平等、生存権などの保
>> 障も明記された20世紀の民主主義憲法の典型と言われたけれど、全権委任法の成
>> 立を可能にしていた。と同時に危機に陥った場合は国家元首の権限を拡大する緊急
>> 命令発布権を認めることができるようになっていた。この抜け穴を利用してヒット
>> ラーは、国家の危機意識をあおり、全権委任法を成立させた。ベルリンの国会議事
>> 堂の放火事件で犯人が共産党員だったことを理由に、共産党を非合法化し、言論・
>> 報道・集会、結社の自由、通信の秘密を制限して、独裁政権を樹立していったとい
>> う歴史がある。「あの手口を学んだらどうかね」ということは、権力を利用すれば何
>> でもできるんだということを学べと言っているんだ。
>>
>> B 日本のマスコミも鈍感だった。当初からこの問題を取り上げたのは読売新聞と共同
>> 通信だけという。読売は淡々とした書きぶりで問題提起する意思があったのかどう
>> か不明だが、3日の社説ではっきりと批判に打って出た。朝毎読を敵に回した形だ
>> が、もっぱら朝日新聞などを攻撃する産経の論調には説得力がない。
>>
>> A 共同通信の影響かどうかわからないが、海外メディアの反響は速かった。海外メデ
>> ィアの反響があって日本のマスコミが問題視するパターンはうんざりだが、欧州に
>> はナチスの悪夢を持つ国も多いので、この歴史認識はこれから問題視されるような
>> 気がしてならない。安倍政権はこのような人物を重要閣僚に抱え込んでいけるだろ
>> うか。
>>
>> C 麻生副総理の撤回発言が早かったのはアメリカ政府の意向が強く働いたからだとい
>> われている。さすがにアメリカはユダヤ人問題に敏感だ。それに比べれば日本の政
>> 党は総じて鈍かったが、社民党の又市幹事長の談話はかなり素早く、適格に問題点
>> を突いていた。共産党は志位委員長の発言はあるが、党としては出遅れたのか、な
>> ぜか声明などは出していない。
>>
>> D 社民党の談話を読むと、「あの手口を学んだらどうか」とナチスを賛美しているが、
>> ナチス賛美はEU諸国等で「犯罪」であるという事実にも留意すべきであると指摘
>> している。さらに「喧騒の中で決めないでほしい」とも発言しているが、憲法はそ
>> れこそ国民的論壇を行い最終的に主権者である国民の意思で決定すべきものである。
>> 国民的論議を「喧騒」と捉え、ナチスの手口に倣って、国民が騒がないような環境
>> を作りだして、世界に誇る日本国憲法の停止、死文化を図ろうというところに本音
>> があるのではないか─と糾弾しており、問題点がよく分かる。
>>
>> B 産経新聞は、改憲支持派=ナチス賛美者という構図にする気かと息巻いているが、
>> 麻生発言があの桜井よし子氏のシンクタンク「国家基本問題研究所」主催の講演会
>> で飛び出したというから雰囲気は察せられるね。恐らく誰もこの発言を問題にする
>> 人はいなかったと思うよ。しかし、安倍首相はこれで「憲法改正」を口にしにくく
>> なった。
>>
>> A 「憲法改正」はしにくくなっても実質改憲の実を得ることは出来る。それが今回内
>> 定したという小松一郎駐仏大使の内閣法制局長官の起用だろう。何しろ外務省から
>> のこのポストへの起用は初めてのことだというから、安倍首相としては相当の決意
>> と狙いを込めた人事だろう。内閣法制局長官といえば憲法解釈の番人だからね。
>>
>> C 小松という人は集団的自衛権の行使にえらく熱意のある外務官僚だという。安倍首
>> 相は第一次内閣を組閣する際、内閣法制局長官を呼んで集団的自衛権の行使を憲法
>> 上容認するよう求めたことがある。ところがこれがNO。そこで現職を更迭して次長
>> を格上げしたが、これもNO。そこで安倍首相は有識者会議を設置し、官僚OB や
>> 御用学者を集めて4類型を検討させたということになっている。
>>
>> B 4類型とは1.公海上での米軍艦船の防護2.米国を狙ったミサイルの迎撃3.国連平和
>> 維持活動などでの武器使用4.多国籍軍などへの後方支援──だな。内閣法制局の見
>> 解では憲法上、必要最小限度の自衛権行使にとどまるべきであって、これは必要最
>> 小限度を逸脱している。こんな解釈が認められるなら憲法9条に何の意味があるか
>> という立場だ。
>>
>> C だから長官を更迭して外務省から持ってきた。安倍首相の狙いはとにかく「日米同
>> 盟」の強化だ。リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイらジャパン・ハンドラ
>> ーからやかましく言われていた集団的自衛権の行使を可能にする憲法体制をつくり
>> たい一心だと見た。いわば憲法改定の先取りをしようって話だよ。
>>
>> A ところが3日の東京新聞の朝刊はこの件に関して阪田雅裕・元内閣法制局長官イン
>> タビュー記事を掲載している。これが迫力満点なんだね。「憲法や法令の解釈は論理
>> の世界で、人が好き放題に解釈できるものではない」と切り出して「もし、やるな
>> ら政権も相当の覚悟が必要だ」という結びの言葉まで、とにかく「政治的判断が加
>> わる余地はない」と強調している。
>>
>> D その点について朝日の記事は腰砕けで、ひどすぎる。「解釈変更へ地ならし」「安倍
>> 色人事で把握」「揺らぐ憲法の番人」という見出しを見ただけでも、集団的自衛権に
>> ついて内閣法制局長官の憲法解釈が変更されるかのような印象を与えている。記事
>> を読んでいくと、内閣法制局の部長などの幹部は法務、総務、経済産業、農林水産
>> の5省の出身者が就く、長官は農水省をのぞく4省出身者が基本で、小松氏が長官
>> になれば、外務省出身者としても部長未経験者としても初めてで、と言った調子で
>> 詳しく解説しているのはいい。しかしこんな異例な人事を強行してまで憲法解釈を
>> 曲げてよいのかについて記者はどう考えているかは全く触れず仕舞い。安倍首相が
>> 喜ぶ公正、中立な報道記事に仕上げていますという典型例で、こういう記事の積み
>> 重ねが憲法解釈の変更を容易にさせていく気がしてならない。
>>
>> B 4類型にしても児戯に等しいようなことを言って、とにかく集団的自衛権を日本も
>> 行使したいようとわめいているようなものだ。「自衛隊に犠牲者を出し、他国民を殺
>> 傷する覚悟が国民にあるのか。それを確かめず、一内閣の判断で解釈を変更するこ
>> とはあり得ない」とまで阪田氏は言い切っている。小松氏の手腕が見ものだ。
>>
>> C その前にそれをオバマ政権が歓迎するかどうかという問題がある。日本の集団的自
>> 衛権の問題に中国、韓国は非常に神経質になっており、もし、日本が集団的自衛権
>> の行使を憲法上認めるという決定を下せば、日中関係、日韓関係は収拾がつかない
>> くらいに悪化する。それをオバマ政権が支持するとは思えない。
>>
>> B それは2月の日米首脳会談のとき、すでに言われていた。安倍首相はその時のこと
>> を承知の上で集団的自衛権の問題に執着しているのだろうか。ジャパン・ハンドラ
>> ーはオバマ政権から浮いていると言われて久しい。この連中が民主党政権に食い込
>> んでいるとは思えないよ。それに安倍首相が乗っているとすれば、大きな謎だね。
>>
>> A 我々日本人は隣国である中国、韓国との関係改善を今、何にもまして考えなければ
>> ならない。隣国との関係が安定してこその日本の平和だ。そのためには麻生副総理
>> のような人物は必要ないだろう。もっと定見のあるしっかりした人を選ぶ選挙シス
>> テムを考えなければならないときにきている。
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>> 【2013年8月3日記】
>> ◎田英夫「直言・極言」
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