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>メディカル通信~知らなきゃ損する最新医学・病気・健康の話~
>第14話: 「ALS新薬、東北大で治験開始」2011.7.17号
>毎月7,17,27日配信 発行部数: 68部 Since 2011.1.30
>■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
> ------------------------------- 今回の内容 -------------------------------
>・ 特集1 : ALS新薬、東北大で治験開始
> 特集2 ：癌の基礎10 ─ がんのTNM分類
>・ 最新医学研究成果紹介
> 「生殖細胞の性決める遺伝子 ショウジョウバエで発見」
> 「造血幹細胞だけの取り出し成功、白血病治療期待」
>・ 医療系ニュースピックアップ
> 「たばこ増税検討、１箱最大５０円…復興財源に」
> 「がん検診受診率が低迷 「５０％以上」の目標厳しく」
> 「牛４２頭、４都県に出荷 餌から高濃度セシウム」
>・ 今週の学会情報
>・ これを英語でなんという?
>・ 健康豆知識
>・ 明日から役立つ体の雑学
>・ 編集後記
>・ 相互紹介大募集
>------------------------------------------------------------------------------
>★特集1: ＡＬＳ新薬、東北大で治験開始 ★
>
> ALSという病気は神経を侵す進行性の難病です。最初は脱力で始まり、足よ
>りも手に頻繁に起こります。左右どちらかの筋力低下がより進行し、腕や脚
>へ波及します。脱力に先立ってけいれんもよく起こりますが、感覚の変化は
>ありません。時間の経過とともに脱力が著しくなり、けい縮が起こります。
>筋肉がつって硬直し、続いてけいれんが起こります。振戦も現れます。のど
>の筋肉が衰えると、構音障害（ろれつが回らないこと）や嚥下障害（ものが
>飲みこみにくいこと）をもたらします。最終的に呼吸を行う筋肉の力が低下
>して呼吸困難が起こり、一部の患者では人工呼吸器が必要になります。
>
> この全身の筋肉が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症（ＡＬＳ）」の進
>行を遅らせる新薬の臨床試験（治験）が、東北大病院（仙台市）で今月中に
>も始まる見通しとなった。動物実験で発症後の生存期間が１・６倍に延びる
>ことが確認されており、治験で安全性や有効性を確認できれば、ＡＬＳ治療
>の選択肢が広がると期待されます。
>
> ＡＬＳは最初に述べた通り運動ニューロン（神経細胞）が次々と死滅し、
>脳からの指令を筋肉に伝えられなくなる病気です。呼吸のための筋肉も動か
>せなくなるが、知覚は正常に保たれるため、「最も過酷な神経難病」と言われ
>ます。推定患者数は国内に約８５００人、世界で３５万人。発症すると３〜
>５年で８０％以上が死亡するのが残念ながら今の現状です。
>
> 東北大の青木正志教授（神経内科学）らのチームは、親から子に遺伝する
>型のＡＬＳで、発症に関わる遺伝子を以前発見しました。この遺伝子を操作
>し、ＡＬＳを発症させたラットを作った。ラットに、細胞を増殖させる働き
>のあるＨＧＦ（肝細胞増殖因子）というたんぱく質を投与すると、発症から
>死亡までの期間が平均で１７日から２７・５日に延びたそうです。ＨＧＦが
>運動ニューロンの死滅を防ぎ、進行を遅らせたとみられます。
>
> この新薬を患者さんに応用できそうだという治験が集まったので新薬の効果
>を調べることになりました。一人でも多くのALSの患者さんを助けられると
>いいですね。
>
>★特集2 ：癌の基礎10 ーがんのTNM分類★
>
> 10回の予定で始めた「癌の基礎」も今回が最後になりました。最後に癌のス
>テージングについてお話します。
>
> ステージングとは病期分類のことで、簡単に言えば早期がんなのか進行がん
>なのかということを表します。一般的にはステージはI, II, III, IVとあり、さ
>らに細かく分かれる場合もあります(臓器ごとに異なる)。ステージIであれば
>早期がんですが、ステージIVなら残念ながら今の医学ではもう直せないいわ
>ゆる「末期がん」の状態です。このステージを決める上で重要なのが「TNM分
>類」です。
>
> T・・がんの大きさ (T0からT4まであり、大きい数字になるほど大きな癌)
> N・・リンパ節転移 (N0からN3まで。大きい数字ほどリンパ節に転移あり。)
> M・・他臓器転移 (なければM0, あればM1)
>
> これらの項目をチェックして例えばT2N1M0のように調べ、そこからステージ
>を割り出しています。このステージと、どこの臓器の癌かということをもとに、
>治療方針を決めたり、場合によってはあと余命はどれくらいかをはじき出して
>います。
>
> 以上で「癌の基礎」は終了です。分かりにくい点もあったかと思いますが、
>「医学の専門学校」という弊誌の姉妹ブログで過去記事を少しずつ更新してい
>ますので参考にしてください。
>
> http://medicallecture.seesaa.net/
>
>★最新医学研究成果紹介★
>
>○「生殖細胞の性決める遺伝子 ショウジョウバエで発見 」
>
> アメリカ超一流科学誌サイエンス（電子版）に今月８日付で発表された論文で
>す。
>
> 生殖細胞が雄、雌どちらの性別になるかを決める遺伝子があることを、自然
>科学研究機構基礎生物学研究所の小林悟 教授（発生学）らの研究チームがショ
>ウジョウバエを使った実験で発見しました。
>
> 生殖細胞の性別が決まるメカニズムは明らかになっておらず、生殖細胞その
>ものに性別を決める遺伝子があることを証明したのは初めてという。
>
> 雄の生殖細胞は精子に、雌の生殖細胞は卵になる。生殖細胞の性別はこれま
>で、体細胞から出るタンパク質の刺激を受けて決まると考えられてきたが、体
>細胞の性別が変わっても生殖細胞の性別が変わらない事例が多数あることから、
>チームは生殖細胞そのものに性別を決める遺伝子があると考えました。
>
> 生殖細胞が、精巣や卵巣になる「生殖巣」という袋に入ると体細胞の影響を
>受けるため、袋に入る前の「始原生殖細胞」に着目し、性別に関係しそうな遺
>伝子を選んで分析し、卵（雌）を形成する細胞だけに「Ｓｘｌ（エス・エック
>ス・エル）」という遺伝子が活性化していることを発見しました。
>
> さらに、精子（雄）になる始原生殖細胞のＳｘｌ遺伝子を人為的に活性化さ
>せ、雌の生殖巣に移植すると、卵となることを確認。逆に、Ｓｘｌ遺伝子が活
>性化していない始原生殖細胞をそのまま移植しても卵にならず、Ｓｘｌ遺伝子
>が生殖細胞の性別決定に関わっていると結論付けました。
>
> 小林教授は「他の動物における生殖細胞の性別を決める仕組みを明らかにす
>る第一歩」と話しています。
>
>論文はこちらから↓登録していないと要約しか見ることができません。
>http://www.pnas.org/content/early/2011/06/29/1101841108.abstract
>
>○「造血幹細胞だけの取り出し成功、白血病治療期待」
>
> アメリカ超一流科学誌サイエンスに今月８日付で発表された論文です。
>
> 人間の血液の赤血球や白血球などのもとになる造血幹細胞だけを取り出し、
>マウスに移植して、血液を増やすことに、カナダのオンタリオがん研究所など
>のチームが成功しました。白血病治療などへの応用が期待されます。
>
> 人間の造血幹細胞は主に骨髄の中にあるが、造血幹細胞だけを取り出す手法
>はありませんでした。このため、血液のがんに当たる白血病の治療では、新た
>な造血幹細胞から、がん化しない血液を作るため、他の細胞を含む骨髄が移植
>されます。
>
> 研究チームは、造血幹細胞の表面に表れる糖たんぱく質に着目し、その一種
>「ＣＤ４９ｆ」の細胞１個をマウスに移植しました。１８匹のうち５匹は５か
>月以上血液を作り続けたという。造血幹細胞だけを取り出し、安全に培養でき
>るようになれば骨髄移植量が減り、患者の負担軽減につながる可能性がありま
>す。
>
>論文はこちらから↓登録していないと要約しか見ることができません。
>http://www.sciencemag.org/content/333/6039/218.abstract
>
>★医療系ニュースピックアップ★
>
>○ たばこ増税検討、１箱最大５０円…復興財源に
>
> 政府が、東日本大震災からの復興策の財源として、たばこ税率の引き上げを検
>討していることが分かりました。
>
> 菅首相の諮問機関である「東日本大震災復興構想会議」の提言を受け、政府
>は所得税、消費税、法人税の「基幹税」を臨時増税して復興財源を賄う方針だ
>が、大幅な増税には強い反発が予想されるため、国民の反発を比較的受けにく
>いたばこ税の増税も検討対象に加えることにしたそうです。
>
> 政府内にはたばこ１箱当たり最大５０円程度増税し、増収分を全額、復興財
>源に充てる案が出ています。早ければ来年度から実施したいとのことです。１
>箱５０円増税した場合、販売量が減らなかったと仮定すれば、最大で年２００
>０億円規模の増収になると政府はみています。
>
>○ がん検診受診率が低迷 「５０％以上」の目標厳しく
>
> 厚生労働省が１２日公表した２０１０年の国民生活基礎調査で、過去１年間
>に各種がん検診を受診した人の割合が、最高でも男性の胃がん検診の３４・３％
>にとどまり、０７年に策定したがん対策推進基本計画で「１１年度末までに受
>診率５０％以上を目指す」とした目標達成が困難となっていることが分かりま
>した。
>
> 調査結果によると、胃がん検診の受診率は男性３４・３％（前回０７年調査
>比１・８ポイント増）、女性２６・３％（１ポイント増）。肺がんは男性２４・
>９％（０・８ポイント減）、女性２１・２％（０・１ポイント増）、大腸がんは
>男性２７・４％（０・１ポイント減）、女性２２・６％（０・１ポイント減）だ
>ったそうです。
>
> 検診が無料となるクーポンが国や自治体の予算で０９年度から配布されてい
>る女性のがんは、子宮がん２４・３％（３ポイント増）、乳がん２４・３％（４
>ポイント増）でした。
>
> 厚労省の担当者は「クーポン配布をほかのがんに広げることも含め、受診率
>向上策を検討したい」としています。
>
> がんは早期発見が非常に重要です。多少の出費や時間よりも癌が進行しない
>うちに見つけることの方がずっと価値があります。今現在受診していない方は
>是非検診を受けるようにしてください。
>
>○ 牛４２頭、４都県に出荷 餌から高濃度セシウム
>
> 福島県は１４日、同県浅川町の肉用牛農家が高濃度の放射性セシウムを含む
>餌の稲わらを牛に与えていたと発表しました。この農家は４月８日から７月
>６日の間、４２頭を仙台市、千葉県、東京都、横浜市に出荷。食肉も汚染さ
>れている可能性があり、厚生労働省は食肉処理された後の流通経路について、
>関係自治体に調査を要請しました。
>
> 福島県によると、わらからは、セシウムが最大で１キログラム当たり９万７
>千ベクレル(暫定基準値の約７３倍)検出されたそうです。
>
> 農家は「事故後のわらを食べたのは３５頭だけ」と説明しているが、昨秋の
>わらからもセシウムが検出されており、福島県は「全４２頭の追跡調査が必要」
>としています。この農家で飼われている牛の尿からもセシウムが検出されまし
>た。
>
> 福島県によると、牛４２頭の出荷先は、横浜市１４頭、東京都１３頭、仙台
>市１０頭、千葉県５頭です。
>
> 福島原発事故の被害は甚大です。当メルマガでも順次情報を発信していきた
>いと思います。
>
>★学会情報(2011/7/18-7/27)★
>
>07.20-22 日本小児外科学会学術集会（第48回） 東京都江東区
>07.21-22 日本消化器免疫学会総会（第48回） 金沢市
>07.21-23 日本ペインクリニック学会大会（第45回） 松山市
>07.21-23 日本臨床腫瘍学会学術集会（第9回） 横浜市西区
>07.22-23 日本アンドロロジー学会学術大会（第30回） 東京都千代田区
>07.22-23 日本医学教育学会大会（第43回） 広島市中区
>07.22-23 日本肝移植研究会（第29回） 仙台市青葉区
>07.22-23 日本腎不全外科研究会（第20回） 横浜市西区
>07.22-24 日本先天異常学会学術集会（第51回） 東京都千代田区
>07.22-23 日本疼痛学会（第33回） 松山市
>07.22-23 日本光医学・光生物学会（第33回） 吹田市
>07.22 皮膚かたち研究学会学術大会（第38回） 東京都港区
>07.22-24 日本婦人科腫瘍学会学術講演会（第50回） 札幌市白石区
>07.23-24 日本アクセス研究会セミナー（第13回） 横浜市西区
>07.23-24 日本医薬品情報学会総会・学術大会（第14回）東京都江戸川区
>07.23-24 日本顎関節学会総会・学術大会（第24回） 広島市中区
>07.23-24 日本社会医学会総会（第52回） 富山市
>07.23 消化器病における性差医学・医療研究会（第7回）東京都文京区
>07.23-24 日本小児皮膚科学会学術大会（第35回） 横浜市西区
>07.23 日本皮膚病理組織学会（第27回） 東京都港区
>07.23-24 日本ヒューマン・ケア心理学会大会（第13回)大阪市住吉区
>07.23 日本PTEG研究会 ※4月23日より延期（第10回)札幌市中央区
>
>★これを英語でなんという?★
>
> もしも海外で病院を受診しなくてはならなくなった時のために症状を英語で
>なんというか少しずつ勉強しましょう。
>
> 今回のフレーズ
> 手術を受けたことはありますか?
> Have you ever had surgery?
>
>「手術」はsurgery (サージェリー)といいます。手術したことがあるかどうか
>は重要な情報です。手術に限らず、入院して治療を受けたことがある方はいつ、
>何の病気で入院したか必ず答えられるように整理しておきましょう。
>
>★健康豆知識★
>○ 「使いすぎ症候群」
>
> 一説には２０００万人ともいわれるゴルフ人口。その中には練習のしすぎで慢
>性的な障害を起こす人もいます。ゴルフで多いのが同じ腱や筋肉をくり返し使
>うことから起きる「使いすぎ症候群」です。痛いのを我慢して使い続けること
>が「使いすぎ症候群」の原因なので痛くなるまでやらないことが最も重要です。
>ある一定年齢を過ぎたら、体力を過信せず、無理のない練習をしましょう。
>
>★明日から役立つ体の雑学★
>
>前回(第13話)の解答:
>
> 正解は「イ」でした。鼻の嗅部には臭いを感じる嗅細胞が集まっていますが、
>その面積は2.4cm2ほどで、約切手1枚くらいの広さです。ここで臭いの情
>報を集め、感覚神経を経て、脳の嗅覚中枢へ伝えられています。
>
>次回(第15話)の問題:
>
> 「食道」は口に入った食べ物を胃に届ける細長い管ですが、大人の場合、食
>道の長さはいったいどれくらいでしょうか?
>
> ア-約15cm イ- 約25cm
> ウ-約35cm エ- 約45cm
>
> 正解は次回のメディカル通信で。
>
>★編集後記★
> 今回のメディカル通信は以上になります。いかがでしたでしょうか。当メル
>マガでは読者のみなさまのご意見・ご感想を受け付けております。メールで
>どんどんお寄せください。それではまた次回。お楽しみに!
>
>★相互紹介大募集★
>
>当メルマガ「メディカル通信」では、相互紹介して下さる方を大募集中です。
>特に、医学・病気・健康・介護・薬など、当メルマガと関連するテーマを扱
>うメルマガなどをお持ちの方は是非ご一考ください。拙いところも多々ある
>かと思いますが、精いっぱい紹介させていただきます。
>
>■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
>メディカル通信~知らなきゃ損する最新医学・病気・健康の話~
>第14話: 「ALS新薬、東北大で治験開始」2011.7.17号
>ブログ 「医学の専門学校」：http://medicallecture.seesaa.net/
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